なすが食べられるようになりました。

30代共働き庶民のサラリーマンです。趣味(ファッション・読書・映画・旅行・アウトドアなど)と時々仕事についての覚え書き。

大切なのは超専門化か幅(レンジ)か【読書感想】RANGE(レンジ)知識の幅が武器になる/デイビッド・エプスタイン

いやー、北京オリンピック盛り上がっていますね~。

前半戦が終わった中で、自分の中で一番印象に残っているのが、男子スノーパイプの平野選手ですね。

2回目の採点に対して、3回目全く同じ技をさらに完成度をあげて成功させる。

かっこよかったです。

 

 

さて、今回読んだ本はRANGE(レンジ)。

評価が高かったので買ってみた本でしたが、とても勉強になりました。

 

・著者:デイビッド・エスプタイン

・発売日:2020/3/26

・出版社:日経BP

 

 

 

1.様々な分野で経験を積むこと

オリンピックをみていると、多くの選手が小さいころからそのスポーツに打ち込んできたというニュースが良く流れてきます。

本書でも代表例としてタイガーウッズをあげています。

 

そして、その学習方法の代表が「1万時間の法則」であり、「意識的な練習」でしょう。

 

これについては、割と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

自分もこのことを漠然とその通りだな~と本書を読むまでは思っていました。

当然、これ自体が間違っているわけではありません。

 

ただ、世の中の全てのことにこのことをあてはまることができるのか??

 

著者によれば、それは実は違っていると。

 

問題があいまいで、明確なルールがない『意地悪な世界』では、「幅(レンジ)」が人生を生産的、かつ効率的にするための術となる。

 

むしろ

 

狭い分野の専門特化が「意地悪な」領域と組み合わさると、「よく知っているパターンに依存しがち」という人間の傾向が大きく裏目に出る。

 

ということでした。

 

特に、VUCAと呼ばれる現代において、本書で言われる「親切な学習環境」であることは少ないでしょう。

だからこそ、一つの狭い分野へ専門特化するのではなく、多様な経験を積むこと、広い分野で学ぶことが大切であるということですかね。

 

確かに、アイデアと呼ばれるものは、他の分野のものを持ってきたり、何かと何かを結びつけるものだとよく言われます。

 

自分自身もビジネス本を読む目的としては、そういった他の遠い分野の知識や思考プロセスを学ぶことで、自分の業界で活用するためということが大きいです(活用できているかは別として…)。

 

また、優れた人たちと言うのは往々にして、自身の専門分野以外も学んでいたり造詣が深いなという印象があります。

 

一方で、実際に日本でこのRANGEの考え方が浸透しているかと言うと…まだまだそんなことはないのかなーと。

当然、アメリカでこのような本が書かれているということは、アメリカでもタイガーウッズのような学び(早期から練習し続ける)が推進されているということなのでしょう。

 

まあ特に、日本には継続して続けることが美徳という考え方がまだまだ根深いですからね。

ただ、実際に国の調査でも多様な体験活動がその後の成長に好影響を及ぼす結果と言うのも出ています(ここでは体験がおされていますが)。

令和2年度青少年の体験活動に関する調査研究結果報告 ~21世紀出生児縦断調査を活用した体験活動の効果等分析結果について~:文部科学省

 

日本でも、より教育及び人生にRANGEを許容するようになるといいなと思います。

 

 

2.石の上にも三年か?

この本を読んでいて思い出したのが、自分が最初の会社を転職した時に悩んだこと。

3年立たずに転職したのですが(仕事以外の諸事情はあったのですが)、よく言われたのが3年はいたほうがいいというアドバイスを受けました。

 

このあたり、本書は「マッチ・クオリティー※」という概念と併せて説明されています

※ある仕事をする人とその仕事がどれくらいあっているか、つまり、その人の能力や性質と仕事との相性を表す言葉

 

マッチクオリティーの向上による効果は、スキル取得の遅れによるマイナス分を上回る。

学問やスキルを学ぶことは、自分自身について学ぶことほど重要ではない。

 

つまりは、自分に合う仕事を探す方(個人的に解釈するならば、色々な体験や学びを得て、自分自身を理解することを探索すること)がとても大切だということですかね。

 

本書ではさらにこう書いてあります。

 

「勝者(自分のドメインでトップに立つ人)」は合っていないと感じたら早くにやめ、やめることについて悪い感情を抱かないという。

「やめる勇気がなくて仕事にしがみついていると失敗する。」

ただし、単に仕事が大変だからという理由でやめることは勧めていない。長い道を歩むうえで、困難に屈しないことは強みとなる。

ここで最も大切なことは、やめようと思う気持ちが、忍耐力が足りないためなのか、それとも、もっと自分に合うものを見つけたからなのかを感じ取ることだ。

 

これは、まさにその通りだなと思います。

やめる理由が大切かなと。個人的には、ゴールが見える激務であれば我慢して続けてみるのもいいと思います。

社風(パワハラ、セクハラなど)や人間関係ややりたいことが違うなど、そういった内容であれば勇気を持って辞めたほうがいいです。

 

個人的には、以下の3つの理由で転職することも悪くないと思っています(抵抗がないわけではないですよ)。

 

①過去と時代が違う

これは石の上にも三年と言われていた時代と異なり、変化も激しい時代の中で、キャリアについては主体的に考えていく必要があるのではないかと思っていること(昔の考え方を否定しているわけではなく、仕事やキャリアについては昔と常識が異なるのではと思っています)。

実際に、国(特に経済産業省)の方向性の中では多様なキャリアを推進することが記載されています。

産業人材 (METI/経済産業省)

 

②人生100年時代と労働者の減少

人口減少、少子高齢化の中で日本の生産年齢人口は確実に減少していきます。

国はそれに対して、女性の社会進出、高齢者の働き手の増加、ITの推進をして対応しようとしていますが、生産年齢人口が減少することは間違いありません。

そういう意味では生産年齢人口の人たちはとても貴重な存在になっていく。

また、併せて人生100年時代の中で70代でも働く中で、若いうちの転職はあまり気にされないのではないでしょうか。

 

③結局転職が成功だったかどうかは転職後に決まる

転職が成功したかの判断って、結局転職した後の仕事(人生)が満足いくものだったかどうかで決まるので、転職後に頑張るしかないということ。

当然、転職先の情報は可能な限り調べておくべきだと思いますが。

 

結局、個人的には石の上にも1年~2年程度いれば(社会人の基礎スキルが身につくため)いいのかなと思います(もちろん、パワハラなど心身的な問題が生じる職場であれば法的処置を取ったうえで、すぐにやめることを進めます)。

 

 

3.人生は長期計画か?

大谷君だったり、イチローだったり有名な選手は小さい時からメジャーやプロで活躍することを夢にみて、それに取り組んでいます。

そういった人たちは長期的に人生を計画して一つずつ、達成しているように思います。

実際にメディアや本でもそういった成功例を報道していますしね。

 

ただ、本書で述べられている成功者たちはちょっと違います。

 

彼らは、最初の道から外れるのはとてもリスクが高いと、周囲の人たちに言われていた。だが、私たちが知っておくべきなのは、最初の道から外れるのは異常ではなく当たり前だということだ。

 

「みな長期計画ではなく、短期計画を実践していた。」

 

そう、意外とみんな色々な道を歩んでいるということw

確かに、子どものころに人生で出会う人たちはみんな一つのことをやり続けた専門職が多いですが(先生だったり、お医者さんだったり)、意外と大人になると色々な人生を歩んでいる人も多いですよね。

 

まあ、日本の企業の場合社長とかはまだまだプロパーが多いですが。

このあたりも変わってくるといいですけど(というか変わらないわけにはいかないと思いますが)。

 

自分も割と短期計画で人生を生きてきているので(長期計画ぼんやり持っていますが、その通りいったことのほうが少ない気がw)、後押しされる内容だななんて思いました。

 

 

4.まとめ

とてもためになる内容でした。

色々な論文を引用していたり、多くの事例があげらていたりと勉強になりました。

ざっくり言うと「教育版ファクトフルネス」って感じですかね。

人生に悩んでいる人やこれからの人生やキャリアを考えたい人、また子供の将来について考えたい人なんかにおススメです。

実際、気になった内容をブログにまとめていますが、他にも色々書かれているので、是非読んでみてください。

キャリアや人生の考え方に新しい発見があると思います。

 

 

 

 

 

 

仕事でミスが多い人、必見です。【読書録】仕事が早いのにミスしない人は何をしているのか?/飯野謙次

第二次岸田内閣発足しましたね。

自民党が勝つとは思っていましたが、結果は結構意外でしたね。

 

自分は2大政党制を望んでいるので…気持ち的には…

 

「野党…頼むから存在感を出してくれ」

「岸田さん…頼むから日本経済を発展させて、利権とかやめてくれ」

 

って気持ちですw

 

でも、岸田さんには我々の暮らしのために頑張って欲しいですね。

 

さて、そんなことはさておき。

 

今回読んだ本はこちら。

 

 

読んだきっかけとしては、単純に自分がケアレスミスが多いということ。

 

いわゆる、仕事が早いけどミスをする人っていう典型だと思います(雑なんですね)w

まあ、年齢を経るにつれてミスはだいぶ減ってきたんですけどね。

 

とはいえ、やっぱり誤字脱字とかミスがあると恥ずかしい!!

 

ということで、読みました。

 

 

1.本書における自分の中でのポイント

本書において、大切だなと思ったポイントとしては

  • 人間の絶え間ない高度の注意力を必要とするものがあれば、それは「作業そのものが成熟してない。作業そのものに設計ミスがある」
  • システムそのものを変えて、「ミスが起こらないしくみ」に切り替えていく
  • 共有するデータは1か所に保存する
  • 2種類以上のバックアップデータをとる
  • ダブルチェックは1回目のチェックと同じ動作を繰り返すのではなく、その方法や見方を変えて行うこと
  • 折れ線グラフにして視覚に訴えると、数字だけではみえてこなかったデータの齟齬にいち早く気付くことができる
  • ミスの多い組織と言うのは、業量が集中していることが多いもの。全体の業量が多すぎるのか、配分がうまくいっていないのか、担当の能力が追い付いていないのか
  • 仕事で起こる失敗というのは、「注意不足」「伝達不良」「計画不良」「学習不足」に分析でき、この4つの原因を取り除けば、個人の失敗に関して恐れる必要がなくなる

 

割と自分としては、取り組んでいることもあるなっていう印象でした。

ただ、数字を折れ線グラフにするなんかは視覚化できるので、今後取り組みたいなと思いました。

 

ちなみにしがないサラリーマンの自分が個人的に、取り組んでいて大切だなと思うことは…

  • 色ペンでチェックを入れる
    →チェックした箇所がわかり、チェック漏れが分かる
  • 作った資料を翌日など時間をおいて、読み直す
    →一度頭をリセットして読むと誤字や文章の間違いなどに気づきやすくなります
  • 誰かにみてもらう
    →余裕があるならこれがもっともよいです。ただし、しっかりと確認してくれる人にお願いする必要があります。
  • そもそも人が行う作業を減らす仕組み(システム)をつくる
    →システムでできることはシステムでやってもらうのが一番いいですね

ですかね。

 

そして、一方で自分に足りないのは再チェックですね。

単純に面倒くさくなってしまんですよねw

 

年を取るにつれて、再チェックするようになったのですが、それでもたまに再チェックし忘れたりすると…ミスが発見されたりしますよねw

 

 

2.ミスは必ずしも自分の資質の問題だけではない

本書にも書いてありますが、ミスは基本的に人の能力で対応するよりも仕組みで対応するべきだと思っています。

つまり、ミスをしやすいということはそれだけその仕事が成熟していない(いまでいうと主にIT化)ことがあげられます。
(最近はレジも自動でおつりが出るようになりましたよね)

 

それに加えて、自分の経験上では、業務量や人間関係が悪いなど精神的・体力的にきつくなるとミスする確率が跳ね上がります…。

 

特にパワハラ上司とかだと…

「ミスすると怒られる」

    ↓

「注意しなきゃ」

    ↓

  ミスする

    ↓

  怒られる

    ↓

「おれってこんなこともミスしてしまってなんてダメな奴なんだ…」

 

というループにはまってしまい、自分自身すら否定し始めて、鬱になっていくので、そういう時は「人間誰でもミスはする」と開きなおるのも大切です。

(というか、ミスをするのは自分の能力・資質せいではなく、パワハラや仕事量のせいによる精神的・肉体的なものが原因なので、その根本原因を解決するべきです。)

 

 

3.ミスは仕事をする人しかしない

自分の好きな言葉のひとつに、セオドア・ルーズベルト大統領の言葉がありまして。

 

ミスをしない人間は、何もしない人間だけだ。

The only man who never makes mistakes is the man who never does anything.

 

ミスって結局、何か仕事をしているから起きるわけです。

特に新しいことに取り組むときは、前例もなくミスになりやすいですよね。

 

なので、ミスした時は自分が仕事しているんだと思うといいかもしれません。

(自分に言い訳して、その後改善しないのは駄目ですが)

 

 

4.まとめ

なかなか、読みやすく勉強になる本でしたよ。

自分も全くミスをしない人になりたいものです。

そして、このブログもちゃんと書いた後に読み直そうと思いましたw

併せて、組織でミスを防げるような体制を作っていきたいとも思います。

自分ミスが多いな~と思われている方、一読の価値はあると思います。

 

 

組織をどう変えていくか。【読書感想】ビジネススクールでは学べない世界最先端の経済学/入山章枝

「組織をどう変えていくか」という課題を抱えている中で、何かヒントににならないかと思い、読んだ本。

 

大学時代に経営学の授業も受けていたんですけどねぇ…

もっと勉強しておけばよかったと思うほど、ためになりました。

 

 

 

 

自分の業界や、自分の会社がどれにあたって、実際にどのような経営戦略を持っている(または持つべき)と思いながら読むととても興味深いですよ。

 

1.経営戦略とは

経営戦略…それはよく聞くけど具体的に何って言われるとなかなか答えにくい内容。

本書では、企業の戦略を以下の2つに大別しています。

 

  1. 競争戦略(事業戦略)…
    「特定の業界・市場で企業がどのような戦いをしていくか」を考えるもの
  2. 企業戦略…
    「複数の業界にまたがってビジネスをする企業が、全体としてどのように戦略を進めるか」(広義の多角化戦略)を考えるもの

 

競争戦略はどちらかというと広い意味でのマーケティングに近いイメージですかね。

企業戦略であれば、代表例だと富士フィルムの化粧品業界参入ですかね。

 

自分としても「競争戦略」がやはり学びたいところ。

 

ちなみに競争戦略で代表的なものとして「ポーターの競争戦略」や「リソース・ベースト・ビュー」があげられています。

 

ちなみにビジネスモデルと競争戦略についても言及されています。

 

  • ビジネスモデルは…
    「社内外のビジネス取引全体のデザイン」(完全な定義なし)
  • 競争戦略…
    「業界内で企業がどのようなポジショニングを取るかなどの行動パターン」

 

つまりは、「企業が何かの戦略をとっても、それがビジネスモデルとフィットしていなければうまくいかない」ということです。

 

まあ、当然闇雲に競争戦略を持ってきても、そのビジネスモデルに合うか合わないかもあわせて判断しないといけないということでしょう。

 

 

2.新規事業について

新規事業を生み出す際には「両利きの経営」が重要になってきますが(本書でも両利きの経営に言及されています)、そのあたりの理論も多く記載されています。

 

新規事業を担当することが多いため(今回の組織論を調べ始めたのも発端はここ)、このあたりを覚書のために抜粋いたします。

 

①リアルオプション理論

リアルオプション理論とは、不確実性が高い事業環境下では、何らかの手段で投資の「柔軟性」を高めれば、事業環境の下ぶれリスクを抑えつつ、上振れのチャンスを逃さない。少額の投資をはじめ、不確実性が下がったときに限り追加で残りを投資する。

このあたりは、アジャイル開発などと似た考えですかね。

 

結構自分は、この理論のように”試行的に実施する”や”スモールスタート”が好きなんですよ。

実際には、結果として試行期間が終わってもがっつりやっていくことを見越しているのですが、”試行的”という言葉をつけると新規事業に反対している人でも割と渋々承諾してくれるケースが多く。

もちろん、失敗となったとしてもダメージが少ない(ほぼない)ような内容であることが重要ではありますが・・・。

 

②デザイン思考

”「アーキテクチュアルな知」を高めるためには、「最適な、『組み合わせ』を見出し、まとめあげる力」である、「デザイン力」が重要となる”と本書では述べられています。

なお、ここでいうデザイン力は、より広義の「組織のデザイン」までを意味しています。(ちなみにデザインに優れた組織に関する研究はまだ十分ではない)

 

デザイン力、デザイン思考は様々なところで取り上げらていますよね。

自分もデザイン力、デザイン思考たるものが何かと言われるとちょっと明確な答えが出せないですが(ユーザー視点、コミュニケーションの重視、プロトタイプ試行的なことですかね??)…。

 

③創造性とイノベーション

新規事業と言えば、アイデア!といったイメージがありますが、本書では「創造性」と「イノベーション」の違いが明確に述べられています。

 

  • 創造性…
    新しいアイデアを生み出す力。「既存の知」と「別の既存の知」の新しい組み合わせ。
    →「幅広い人々からの多様な情報が効率的に流れる」ネットワーク上にいる方が有利(弱いつながりの人脈を多く持つ方がクリエイティブになれる)
  • イノベーション…
    いくら創造的で新しいアイデアを出しても、それは製品化など実用化されなければ、「イノベーティブ」とはいえない。
    →アイデアを実現するには①発案者の実現へのモチベーション、②社内での”強い”人脈が必要となる。

 

なお、日本企業はどうしたらよいかも述べれています。

 

  • 自社の問題が「創造性の欠如」なのか、「創造性→実現げの橋渡しの欠如」なのか
    ・創造性の欠如→弱いつながり必要
    ・実現への橋渡しの欠如→根回し上手な上司の存在

 

自分の組織で考えると、「実現への橋渡しの欠如」のほうが問題かなと考えています(どちらかと言えばですけどw)。

人がそれなりにいる分、アイデアと言うのは持っている人も多いですしね。

 

恐らく、アイデアの欠如に至るほど、アイデアを実現できていないということでもありますが。

この辺りは、自分でも反省ですね。

 

 

3.リーダシップ&アントレプレナーシップ

そろそろ、部下ができてもおかしくない年齢なので、この辺りは個人的興味津々です。

まあ、正式な役職ではないですが、それっぽい仕事はやっぱり来ちゃうってこともありますしね。

 

①リーダシップのタイプ

さて、リーダーシップは2種類あると本章では論じられています。

 

  1. トランザクティブ・リーダーシップ
    ・コンティンジェント・リワード型
    ・マネジメント・バイ・イクセプション(能動型)
    ・マネジメント・バイ・イクセプション(受動型)
  2. トランスフォーメーショナル・リーダーシップ

 

ちなみに一見するとトランスフォーメーショナル・リーダーシップの方が良い気がしますがは、トランスフォーメーショナル・リーダーシップは「不確実性が高い事業環境」下にある企業はその業績を高めるが、安定している時は押し下げるそうです。

 

まあ、そのあたりはやはり適材適所なのでしょう。

 

ちなみに、菅総理は個人的にはトランザクティブ・リーダーシップなイメージですね。

平時の時は、素晴らしいリーダーだったかもしれませんが(携帯料金値下げや不妊治療の補助金、また自身の不正疑惑などは特になし)、現在のコロナ禍における「不確実性が高い事業環境」には合っていなかったかもしれませんね。

 

②リーダシップの話法

また、かなり興味深かったのが、リーダシップの話法について。

ちなみにリーダーと言えば、ビジョンが大切ですが、ビジョンの評価軸があるのは知っていましたか?

 

  • ビジョン中身
  • ビジョンの特性
    優れたビジョンの6つの特性は…
    ①簡潔であること
    ②明快であること
    ③ある程度抽象的であること
    ④チャレンジングなこと
    ⑤未来志向であること
    ⑥ぶれないこと

 

このあたりは、言われてみるとその通りだなと思いますよね。

自分が共感できるビジョンかどうかの判断軸にですね。

 

さて、総裁選・衆議院選挙が予定されていますが、”優れたビジョン”を打ち出してくれている人、政党はいるのでしょうか…。

 

③アントレプレナーシップ

誰もが夢見るアントレプレナーシップ。

ちなみに生産性と最も相関関係が高いのはアントレプレナーシップだと、何かで見た記憶があります。

 

さて、イノベーティブ・アントレプレナーシップに共通する思考パターンですが以下の4つになります。

  1. クエスチョニング
    現状に常に疑問を投げかける態度のこと
    「もし私がこれをしたら、世の中はどうなるのか」を考え続ける
  2. オブザービング
    興味をもったことを徹底的にしつこく観察する思考パターン
  3. エクスペリメンティング
    それらの疑問・観察から「仮説を立てて実験する」思考パターン
  4. アイデア・ネットワーキング
    「他者の知恵」を活用する思考パターンです。重要な思考パターンは「自分がどう考えるか」ではなく、「まずこの問いを誰に話すべきか」だそうです。

んー、難しいw

この中で一番難しいのはやはりクエスチョニングですかね。

 

新規事業もそうですが、何かを実施する施策を考えるよりも、「何が課題なのか」を見つけることが、個人的には一番難しいなと感じています。

まあ、自分ができることは上記の内容を日々の生活で時々思い出しながら、行動していくことで、身につけていくことしかないですねw

 

 

4.まとめ

ここには覚書程度でしか記載していませんが、それ以外にもかなりためになる内容がたくさん記載されていました。

経営学でうたわれている全体像を網羅するにはもってこいの1冊かなと思います。

 

この本を読んでいて思ったこととしては、組織を変えるのは相当大変だということ。

そして、どこの組織も悩んでいて、それなりに研究がされていること。

 

つまり、組織を変えるのは大変だけど、答えのパターンはいくつかあって、その答えのパターンを知らないことも1つ問題だなと感じました(だからこそ、コンサルを入れたりするんだろうけど)。

 

あとは、これらを知ったうえで、どのように組み合わせていくか。

それには自身のリーダシップも磨いていかなければいけないし、「両利きの経営」的な考え方も行っていかなければいけない。

んー、組織のリーダーってすごい大変ですねw

 

当然、トップや管理職の人にはおススメですが、自分くらいの年代の人にも勉強になる1冊だと思いますよ。

 

 

生産性~マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの~/伊賀泰代

本日は読書感想。

 

ちきりんの中身の人と言ううわさの元マッキンゼーの伊賀泰代さんの本。

 

前回の読書に続いて、争点は引き続き組織力の最大化のためにどうするか。

で、割とそこでキーワードになるのが「生産性」。

 

まあ、というかいまの日本に必要とされているキーワードですね。

 

 

 

 

1.生産性とは

生産性は

生産性=得られた成果/投入した資源

で表すことができ

 

言い換えれば

生産性=アウトプット/インプット

です。

 

ちなみにちょっと調べたのですが、生産性といっても労働生産性や全要素生産性など実は色々な生産性があるんですよね。

まあ、この辺り詳しく知りたい方はこちらをみるといいと思います。

 

www.jpc-net.jp

 

ちなみによく効率化と混同されがちですが、大きく異なります。

効率化は生産性のインプット(投入した資源)を減らすための手段であり、効率化でコストを削減したとしても全体パイは増えないこともあります。

 

例えば、生産性は1人あたりの稼ぎを増やしましょうという話であり、効率性は会議を短くしたり、無駄な仕事をなくしましょうという話。

 

効率性はあくまで、生産性の1要素であり、

必ずしも効率性の向上≠生産性の向上ではないということです。

 

 

2.組織全体で生産性向上に取り組むことでイノベーションに必要な2つの要素が生まれる

伊賀さんは生産性向上に取り組むことで2つの「イノベーションに必要な要素」が生まれると書いています。

 

そのイノベーションに必要な2つの要素とは

  1. Time for innovationイノベーションのための時間的な余裕
  2. Motivation for innovationイノベーションのための強い動機付け

です。

 

①Time for innovation

これは分かりやすいですね。

何か新しいことを考えろと言われても、普段の仕事に忙殺されていたらそれどころじゃないですからw

やっぱり、余裕が大切ですね。

 

②Motivation for innovation

これは少し面白くて、

ビジネスイノベーションが起こるにはその源として常に「問題意識」と「画期的な解決法への強い希求心」の2つが必要である。

そのためには、生産性という概念を日常的に強く意識させておくことが大切である。 

ということでした。

 

確かに、 何も考えずにルーティーンをこなしていたら、なかなか新しい考えは出てこないですよね。

 

自分としてはこういった「問題意識」として、前向きな仕事(会社・社会)を良くするという気持ちと併せて、「面倒くさい」という気持ちも大切にしています。

だって、面倒なことがなくなるって自分にとって凄い大切なことだと思うし、イノベーション(とまではいかなくても改善レベルでも)への強い気持ちになりうると思うんですよね。

 

何より、常に前向きな気持ちでいられるって凄く大変だし、常に維持できるものではないと思いますし。

 

ちなみに本書ではイノベーションを2つに分けています。 

  1. 技術的分野のイノベーション知的好奇心が元となり、研究上、技術上の画期的な発見と発明のこと
  2. 非技術分野のイノベーション(ビジネスイノベーション)現実の問題認識から問題解決への強い希求から生まれるもの

この分類は大切ですよね。

イノベーションというと技術的分野で捉えがちですが、ビジネスイノベーションと呼ばれるものの方が文系の自分としては身近に感じられますからね。

 

3.人を諦めない組織へ 

本書で最も大切だなと思ったのは実はこの部分。

組織として生産性向上を図っていくうえで、

「社内選抜に漏れた中高年社員グループ」への対応が大切だということ。

(もちろん、トップパフォーマーへの処遇もあげられています)

 

「必死で頑張ってきたのに、自分は選べらなかった」という事実自体が

彼らのモチベーションを減じるため、何らかの手立てを講じない限り、

組織の中に「やる気をそがれた人たち」が大量に生まれてしまうのです。

 

いやー、これは凄く分かります。

特に自分の働いている場所ではまだまだ、組織としての人材育成という考え方があまり浸透しておらず、OJT次第なところがあるというのが現状です。

 

人事としてはこういった層に何かを働きかけるわけではなく、 「配属」だけで問題を解決しようとして(した気になって)、結果「どの部署にも働きの悪いおじさんがいる」という状況を生んでしまうという…。

 

結果として、若手からは冷ややかな目線でみられてしまい…という悪循環が課題だなと思っていました。

 

じゃあ、どうすればいいのか?

 

「会社は、まだあなたたちに期待している」というメッセージを伝えること

「現在、自分が出している成果が、求められているレベルと比較してどれくらい低いのか。何が足りていないのか」さえ伝えられていない。

詳細で具体的なフィードバックを与えられると、人は「自分の仕事振りを、きちんと見てもらえている」と感じることができます。それが「これからも頑張ろう」というモチベーションに繋がるのです。

 

ポストについては空きがないかもしれないけど、やっぱり人って自分のやったことを褒められたいし、評価されたいものだよなと。

それはいくつになっても変わらないし、そういう組織であるべきだと思いました。

 

「最も伸びしろの大きな層」と「非常に人数の多い層」の成長支援に本気で取り組めば、組織全体の生産性をあげるために大きな効果が期待できます。

 

自分の組織もこうなってくれるといいんですけどねw

 

4.まとめ 

生産性について分かりやすく書いてあり、入門書としてとても読みやすかったです。

さすが、人事が長かっただけあって、人材育成の視点や管理部門における生産性の評価(昨年度と比較した生産性の変化率=成果/投入資源)など、とても勉強になりました。

自分はまだマネジメント層ではないですし、「社内選抜に漏れた中高年社員グループ」になり得る可能性は十分にありますが、若手に尊敬されるといかないまでも、「ジャマおじ」にならないように、自己研鑽を積んでいきたいなと思いますw

 

組織とはどうあるべきなのか。【読書感想その②】両利きの組織をつくるー大企業病を打破する「攻めと守りの経営」ー/加藤雅則

前回から引き続き、両利きの組織を作るです。

 

自分が勉強したことがない分野というのとは、どうしてもメモとして残しておきたい内容が多くなってしまいますね…。

まあ、それだけ良書だとも言えますが。

 

読み始めは、自分の新規プロジェクトを他部署に邪魔されたことから始まりましたがw

現在、自分の部署の変革プロジェクトに参加させられていることもあり(かっこつけてみましたが、実際はこんなにかっこいい内容ではないですw)、とても参考になりました。 

 

 

さて、それでは早速本題にはいりましょう。

今回は本書の中での組織の定義的な部分など、前回のブログ内容で書けなかった部分の補足となります。

 

 

1.組織経営論とは

そもそも、本書は純粋に組織論だけを語っているわけではなく、戦略論とセットで語っている。

その理由としては、組織が変わることへの共通イメージが持たれにくい理由として、「戦略を欠いたまま組織論だけが語られるパターン」があるからです(組織論について語るが、事業戦略や経営的視点に結び付いていないなど)。

 

端的に言えば、組織論だけ語っても成果に結びつかなければね…ってところでしょうか。

 

じゃあ、組織経営論とは何かというと…

企業の存在目的(WHY)に対して、戦略(WHAT)と組織(HOW)は車の両輪の関係にある。

存在目的のために戦略論があり、その戦略を実行するために組織論がある。

「何のために、何を、どうやるのか」

 

組織経営論と言うのがなにかとても分かりやすかったです。

そして、自分の経験上往々にしてあるのが、最初は存在目的から始まったものが、いつのまにか手段が目的化していること。

戦略論と組織論をセットで考えるにあたっても、やはり存在目的に立ち返ることが大切なと思いました。

 

 

2.コングルエンス・モデル

戦略、組織といったところで、漠然としていて分かりにくいと思います。

そこで、本書では組織という漠としたイメージを与えてくれるモデルとして、コングルエンス・モデルが活用されています。

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この要素を作り直していくことが組織進化となります。

 

自分の所属で振り返ると…

まずは、戦略・目標の部分から問い直す必要がありますね。

というか、そこも含めて社内の変革プロジェクトに参加させられているわけなので…。

 

そして、KFC、人材、組織カルチャー、公式の組織…を詰めていくと(まあ、始まったばっかりなので全然詰まっていないのですがw)。

 

議論を進めていくうえで、どういう風に進めていくのかはかなりの重要度を占めると思っているので、このモデル(フレームワーク)はとても参考になりますね。

 

ただ、併せてやはり戦略の方も勉強していく必要があると感じました(自分の知識の少なさに絶望ですね…w)。

 

 

3.組織の移行への課題

①移行期の組織の心理的変化プロセス

当然、誰もが経験したことがある感情ですが、組織の方針やらルールやらがドラスティックに変わる場合に、大きなストレスが生じて、反発されることが往々にしてあると思います。

 

その移行期の組織の心理的変化プロセスが

現状満足→変化への反発→自身への不安→自他ともに刷新

となります。

 

これを乗り越えるための、組織進化、トップダウンとボトムアップのミートといった手法が必要になってくるということ。

 

 

②問題のすり替え

一方で、もう一つ。

心理的な「抵抗」に対しては「適応課題」という考え方が有効であるとしており、組織の問題は以下の2種類あるとしている。

  • 技術的問題
    新しいスキルや知識があれば解ける問題(正解のある問題)。
  • 適応課題
    当事者自身が適応しなければ解決できない課題(答えのない問題)。
    問題の特定や解決には学習が必要。

これまでの慣れたやり方を捨てて、新たな仕事のやり方を作り出すのは「適応課題」である。

変革に際して心理的な「抵抗」を生みやすいのが適応課題であり、当事者が真正面から向きあうまで、繰り返しパターンとなって現出する問題だ。

組織の抱える厄介な問題の多くはこの適応課題なのである。

 

また、特に組織開発の現場では、本来は適応課題であるはずなのに、技術的問題としてしまう「問題のすり替え」がおきる。

 

特に部長層が「適応課題」から逃げており、部長が業務タスクのマイクロ・マネジメントに走り、人・組織のマネジメントを行っていないことが多い。

 

じゃあ、これらに対して具体的にどのようにアプローチしていくべきなのか?

 

それは「対話」を通して「こうあるべき」「こうでなければならない」という前提解きほぐしていく必要がある。

 

そうして、対話によって現状に対する見方をすり合わせ、共通認識を醸成したうえで、ビジョンを実現するために「部としてどんな組織能力が必要なのか」について主に以下の3点について対話をする。

 

  1. 新しく何を始める必要があるのか
  2. そのために、何をあきらめる必要があるのか
  3. 一方で、何は継続(強化)するのか

 

である。

 

これについては、自分のもやもやがうまく言語化されており、物凄くすっきりしました。

最近、あったことで「能力」的にできないと言うことで反発を食らったのですが、大体は本当にそうなのか??と思っていました。

むしろ、問題は適応課題の方なのに、技術的問題を盾にしてきたなというのが現状でした。

 

まあ、本音と建前と言ってしまえばですが、いかに新しいことに取り組んでもらうかとなった場合に、やはり「対話」というのがベストな手段だと自分も思います。

 

ここで肝心なのが、管理職の仕事への認識ですね。

正直、マイクロ・マネジメントをしている方が楽ですし、自分の自尊心も満たされますからねw

ただ、併せて管理職に細かい仕事が入ってしまっているという、人材不足・人手不足の問題もありそうですが。

 

 

4.まとめ

とても骨のあるいい本でした。

トップ層から下までそれぞれが役割を果たしていくことが重要であること。

組織的なアプローチ方法があることを認識したうえで取り組んでいくこと(うまくいかないことを個人・相手の責任にはしない)。

「対話」をして、じっくりと意識や意見を形成していくこと。

これらの大切さを改めて感じました。

コロナ禍の中で会社でのコミュニケーション方法が変容している中で、どのように「対話」をしていくのかは今後の課題にもなりそうですが。

 

 

個々は悪い人じゃないのにどうしても成果がでないことないですか?【読書感想】両利きの組織をつくるー大企業病を打破する「攻めと守りの経営」ー/加藤雅則

オリンピック開催について揉めていますねぇ~。

個人的には、オリンピックを開催することで「誰が儲かって」それが「国の利益にどう繋がるのか」が知りたいなと。

または、「誰が損をして」それが「国の損益にどう繋がるのか」が知りたいと思っています。

 

今回のコロナからの一連の騒動をみても、企業と政治に「癒着がない」なんて思っている人はいないんじゃないかな。

もちろん、クリーンな政治であってもらいたいけど、オリンピックについて言えば、オリンピックのために色々と我慢を強いられてる(今後強いられる)中で、それが誰のために、何のためにやらされているのかを知る権利ぐらいはあってもいいと思う。

 

選手は当然開催してほしいし、国民も開催するなら観てみたいと思う。

ただ、コロナの感染が拡大して、一般生活に影響を及ぼしている中で、「何のためにやるのか」をもう一度明確にしてほしいなと思う今日この頃です。

(オリンピック員会は「オリンピックを実行することを目的とする組織」のため、中止を決定するのは、自己否定に繋がるだろうから、かなり胆力がいるだろうなと思いつつ。)

 

 

さて、前置きが大分長くなりましたが、今回読んだ本はこちら。

 

 

大ヒットベストセラーの両利きの経営を元に、実際のAGCの事例を参考にして分かりやすく解説してくれています。

自分自身は両利きの経営を読んでいないのですが、とても参考になりました。 

 

 

 

 

1.組織が進化するためには異なる2つの組織能力が必要とされる。

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基本的に一貫して書かれているのが、「環境に適用できない組織は死ぬ」。

そのめに組織が進化する必要があるという前提のもと、本書は書かれています。

 

そして、その組織が進化するために必要なもの異なる2つの組織能力です。

 

①既存事業を深堀する能力(exploit)

②新規事業を探索する能力(eplore)

 

両利きの経営とは、企業が長期的な生き残りをかけて、これら相矛盾する能力を同時に追求することができる組織の能力の獲得を目指すもの。

 

そして、そのために必要なものが適切な組織構造とプロセスの設計+組織カルチャーのマネジメントになります。

 

このあたりは、環境に適用できなかった事例としては「コダック」なんかがあげられますよね。

一方で、生き残りをかけて適用した事例としては「富士フィルム」が印象深いですね。

化粧品業界に踏み込むニュースが出た当初は、「富士フィルム」が化粧品??大丈夫かと思ったところでしたが、今では立派な基幹事業になっています。

 

また、トヨタ(時価総額1位)ですら環境に適用するために、スマートシティに取り組んでいたりしますよね。

このあたりは経営陣の危機感や認識なんでしょうかね。

 

まあ、いち従業員として危機感や認識を持つことはできても、このあたりはさすがに経営陣の話(仕事の範囲)ですからねw

 

2.成長企業の最大の壁は自社の「組織カルチャー」

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成長企業の最大の壁となるのは自社の「組織カルチャー」と言われています。

 

これは何故かというと…

・成功した組織は「慣性の力」が働くという運命

成功した組織は、過去の経営環境に過剰に適応してしまった結果、環境が激変する局面では適応できず、衰退してしまうという法則だ。特に大手成熟企業では、PDCAサイクルをベースとした効率性の追求という罠にはまっているケースが多い。

・効率化という轍

効率性は事業の幅を広げることを忘れる。会社を成長させる破壊的な方法よりも短・中期的目標を重視する。しかしながら、常に数値目標を達成するのは難しい。そのため、責任を追及して罰する「非難のカルチャー」が生まれ、管理職はリスクを回避するようになり、改竄が生まれた。

 

このあたりは、実感できる話だなと。

 

特に思い当たるのは日本郵政の「かんぽ生命」の不祥事ですよね。

あれも、短・中期的目標を達成するために無理な販売ノルマを課したから生じた案件でしょう。だまされた人はもちろんのこと、ノルマを受けた販売員も過酷だったでしょう。

余りに大きな目標を達成できないことというのは、経営や計画の段階で大きな誤りがあることであって、部下に(パワハラまがいに)販売ノルマを課すというのは経緯人・管理職が無能だといっているのと同じじゃないかと思います。

 

むしろ、利益があがらない場合は商品開発をする、市場を変えるといった選択肢があっていいと思います。

そして、それを判断し、実行していくための経営者、経営陣であるべきではないでしょうか(それが難しいからこそ、高い給与をもらっているということも含めて)。 

 

そこで、それを実行するための、両利きの経営(探索する能力の獲得)の出番と言うことです。

 

3.組織カルチャーを変えるには

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特に、組織カルチャーをマネジメントする必要があり、ここを変えられると認識し、変えることが重要になります。

 

ちなみにここでいう「組織カルチャー」とは…

 

価値観や

社風ではなく、ある組織内で想定されている(期待されている)「仕事の」やり方(組織特有の行動パターン)であり、「仕事に対する姿勢」のこと。

 

そして、「組織カルチャー」こそ、最も真似されにくい競争の源泉となりうると。

 

それでは、組織カルチャーを変えるためにはどうすればいいのか?

「変革は経営者によるトップダウンとミドル・若手からのボトムアップがミートするところで起こる」

 

  1. 経営者が新しい経営の文脈(コンテキスト)を提示する。
  2. トップからのメッセージに応える形で一部のミドル・若手が反応し、具体的な行動が生まれる。
  3. 経営者は自らメッセージを体現している人を探し出し、そこにスポットライトをあてる。
  4. 組織内で新しい行動事例が共有され、周りに波及し、新しい行動パターンが定着する。

 

この辺りは、実務上でもとても納得感がありますね。

自分の経験上、組織として新しいことに踏み込んだりする場合は何かしらのトップからのメッセージがあって、それに対して新しいことを組み立てていくようなことが多いです。

そして、さらに言えばワーキンググループなど組織の縦割りを超えた中でチームを作り、トップ直轄で進めていったケースがだったなぁと。

 

業務の延長線上の業務改善レベルと異なり、自分の業務を超えているもの、運営にインパクトを与えたり、他部署にまたがるものの場合は突然提案するわけにもいかないですしね(何でお前がこんなことを考えて、提案してきているんだって話になりかねないですからw)。

 

そう意味では本書でも記載されているように、トップを含めた経営陣の役割と言うのはやはり大きいですね。

 

4.組織カルチャーを変える問い

実際に組織カルチャーを変えるための問いは以下になります。

  1. 我々はどういう企業でありたいのか?(経営者のリーダシップ、意思表示と価値判断)
  2. それを実現するための策とは何か?(企業戦略)
  3. 戦略を実行するためにどのような実行課題があるか?(KFC)
  4. そのためには、どんな経験や能力、行動スタイルをもった人材がフィットしてるか?(人材)
  5. その人材の貢献をどのように評価する仕組みが必要なのか(公式の組織)
  6. その人たちはどういう仕事のやり方をすれば能力を発揮しやすいのか?(組織カルチャー)

 

自分の場合は、企業の部分を「組織」に置き換えですかね(といっても平社員ですがw)。

ただ、5については人事の問題なのでなかなか介入するのが難しいかなと。

それ以外の部分については、自分の直属の経営層と打ち合わせができて、一緒に動くことができるかどうか(経営層にその課題認識があるかどうかも大切ですが)といったところでしょうか。

 

いずれにせよ、本書でも書かれている通り、トップダウンだけではダメ。

ボトムアップだけでもダメ。

トップダウンとボトムアップがミートするしない限りは、組織変革は起こしえないでしょうね。

 

 

まとめ

仕事上で、組織同士のコミュニケーションの悪さに辟易する場面に出くわしたことがきっかけで、組織論について学ぶ必要があるなと思い読み始めました。

新規事業の提案だったんですが、謎な理由で反対されるという結末に(まあ、その後案をなんとか通したのですがw)。

一人ひとりは悪くないけど、組織として対峙した際に何故か上手くいかない…そんな悩みにドンピシャな内容でした。

特に新規事業がうまくいかない方や組織について不満がある方などは読んでみると何か気づきがあると思います。 

とても良書でした。 

 

 

 

若い世代に少しでも何かを残していきたい。【読書録・後半】シン・二ホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成/安宅和人

新日本プロレスでは飯伏がついに優勝しましたね(書き始めたのがかなり前ですみませんw)。

プロレスつながりで言えば、金曜ドラマの「俺の家の話」。

プロレスシーンが熱いです。

 

まさか、長州力のリキラリアットがドラマで見れるなんて!

そして、長瀬君演じるプロレスラー。

覆面しているから、てっきり別のレスラーがプロレスシーンだけ演じているかと思ったら、まさかの本人。

いや、本当に素晴らしい。動きがプロレスラーでしたw

 

さて、前置きが長くなりましたが、前回に引き続き、シン・二ホンの読書感想です。

  

 

ちなみに勉強になることが多くて感想が2回になりましたw

 

 

1.今後必要な能力

人口減少及び少子高齢化による問題を抱える日本の未来は、今の延長線上だとあまり明るくないでしょう。

 

そのような人口調整局面に対して本書では、未来を作っていくために答えとして

「未来=夢×技術×デザイン」

をあげています。

 

このデザインについては、アート的なデザインだけでなく「モデル設計」の広い意味で捉えています。

 

また、本書では現在の若者に対して

日本の若者たちは持つべき武器を持たずに戦場に出ていっている

と述べています。

 

新卒層の課題としてあげられているものがこちら。

①基本的な問題解決能力の欠如

・問題を定義できない

・結論を出すことができない

②数字のハンドリングの基本が欠落

・数字を並べることと分析の違いがわかっていない

・軸を建てるということの意味がわかっていない

③分析の基本ができていない

・数字を並べることと分析の違いがわかっていない

・軸を立てるということの意味がわかっていない

④基本的な統計的素養がない

・平均を鵜呑みにする

・サンプリング、統計的な優位性の概念の欠落

⑤情報処理、プログラミングについての基本的な理解がない

実際に自分の1年目はまさにこれでした…というかこれ以上にロジカルシンキングもできていなかったし、文書もかけなかったなと…。

武器どころか服も来てないなかったんじゃないかと思いますw

 

ただ、自分自身を振り返ると何が「武器」であるかすら分かっていなかったなと(ただ、真面目な大学生ではなかったので一般論として参考になるかと言うと怪しいですがw)。

問題解決能力もそうですが、ロジカルシンキングや説明能力などなど、基本的なビジネススキルを把握すら(そういうものが存在していることすら認識)できていなかったなと。

そもそも、ロジカルシンキングなどが「身につけられるもの」だと思っていませんでした…。

 

まずは「ロジカルシンキング」というものが存在していること、そしてそれは学ぶことで身につけられること。

この2つを義務教育の段階で教えてもいいのではないかと思います。

その上で、大学生からと言わず、中学校ぐらいから「授業」として取り入れていってもいいのではないかと思います(もちろん、数学等を通して間接的には学んでいるとは思いますが)。

 

また実際に今の自分に当てはめてみてこれらのことができているかというと…

数学的な部分やプログラミングなどは全く駄目ですね…(耳が痛いですw)

統計についても数年前に集中的に研修と勉強をしてようやく少し分かってきたぐらい…。

本当に日々勉強が大切ですねw

 

さて、以上のところは若年層(新卒レベル)に求められている部分。

実際にこれからの世の中を作る上で必要になる(データ×AIの力を解き放つための)3つのスキルセットとは

①ビジネス力

課題背景を理解した上て、ビジネス課題を整理し、解決する力

②データエンジニアリング力

データサイエンスを意味のある形に使えるようにし、実装、運用できるようにする力

③データサイエンス力

統計数理、分析的な素養の上、情報処理、人工知能などの情報科学系の知恵を理解し、使う力

と述べられています。

 

…正直かなりハードルが高いです…w

しかも、どれか一つでも欠けていてはいけないということ。

んー、実際にどれくらいこれができている人がいるんでしょう?

理系職が多かったり、ネット系企業では割といるのかな??

 

①ビジネス力というのはある程度できているとして(仮定ですw)、③データサイエンス力についても本を読んだり研修を受けたりしてなんとかなりそうかなと思います。

しかしながら、圧倒的に足りないのが②データエンジニアリング力。

これについては「教育」としてどこかのタイミングで教わるしかないのではと感じています。

それは単純に本を読むだけでは身につかないことと、取っ掛かりとして学ぶイメージができていないからです。

なので誰かに教えてもらう必要があると思っています。

 

本書でも書いてありますが、そういったものを学ぶラボのような場所が公的機関であると素晴らしいなと思います。

それこそ、生涯学習センターや公民館などで最初のとっかかりが学べるといいですよね。

 

さらに言えば、データエンジニアリング力やデータサイエンス力を学ぶことで、意思決定の際にストーリーだけでなく、データも大切だと思う人(組織)が増えるといいなと思います。

 

ただ、裏を返せばこれだけハードルが高いことをやっていかないと良い未来を残せないという深刻な状況でもあるということでしょう。

 

 

2.人材育成について

それでは以上の人材をどのように育成していけばいいのか。

 

や現代のリベラルアーツとして身につけるべきものを4つ挙げています。

  1. 母国語(日本語)
  2. 世界語(英語、中国語)
  3. 問題解決能力
  4. データ×AI×リテラシー

まさに文系教育システムで育ってきた自分としては4番目が圧倒的に足りていないです(ちなみに2番目の英語については遅ればせながら英会話に通いはじめました)。

ここについては、やはりMOOCなどを活用して学んでいかなければいけないですね。

 

また、官民問わずデータ×AI×リテラシーを学ぶ体型を確立してほしいと思います。

正直、どのようなステップで学んでいけばいいか分からないなと。

学びの入り口が分かると学ぶ側としてはとても助かるんですけどね。

 

また、知覚を鍛えることの重要性についても述べています。

これにあたっては「ハンズオン・ファーストハンド」と「言葉、数値になっていない世界が大半であることを受け入れる」というマインドセットを持った上で以下の5つのコツをもって具体例な事象に取り組んでいくことが書かれています。

〈5つのコツ〉

  1. 現象、対象全体として受け止める訓練をする
  2. 現象、対象を構造的に見る訓練を行う
  3. 知覚した内容を表現する
  4. 意図的に多面的に見る訓練をする
  5. 物事の意味合いを深く、何度も考える

 

これはビジネスでも必要なコツでもあるなと思いました。

例えば、意見をヒアリングしたとしてもそれが提案や企画につながる人とそうでない人がいる。

これも知覚力(気付く力)の違いだと思います。

 

この知覚力についても磨いていく必要があり、それにはやはり知識・経験といった学びと教育システムのマッチングが必要になってくると思います(ここについては本書でも述べられています。)

 

ただ、気付く力は言い換えるとセンスに近いものがあるので、時間をかけて育てていく必要があると思います。

 

 

3.自分ができること

さて、2回にわたって読んだ中で自分が大切だと思うことを書いてきましたが(この本の凄いところはこれだけ書いても本書の中のほんの一部だということ)、実際に今の自分の中で何ができるかということ。

これについては、今回度々書いていますが、経験を含めた意味で学び続けるしかないかなと。

特にデータサイエンスについては英会話と同様にお金と時間をかけて学ぶ必要があるのかなと。

本当は大学などに行って学びなおすなどのリカレント教育をしてみたいのですが、金銭面でちょっと難しいかなと。

一番いいのはMOOCなんかを活用して、好きな時間と場所で学べるといいんですけどね。

ただ、学び方がまだ自分では手探りなので、少し調べてからになりそうですが…。

 

若手の教育に関しても、本書の言う通り「持つべき武器を持たずに戦場に出ている」若手が多いと感じているので(かく言う自分もまさにその一人でしたがw)、何かOJTをしながら学べるシステムをつくれるといいなと思います。

 

仕事で言えば、活かせそうなことだらけなので、まずは本書を周りの人に勧めることから始めようと思いますw

 

4.まとめ

いやー、本当に骨太なためになる本でした。

今回のブログを書くにあたって何度も読み返したのですが、読み返せば読み返すほど「なるほどな」と思うことが多くて…質も量も素晴らしい本だなと改めて思いました。 

 少なくともおじさんになったときに(すでにおじさんですがw)若い世代から、「邪魔おじ」と呼ばれないようにしたいなと。

さらには、おじいさんになったときに「お前らの世代がちゃんとしなかったから」と文句を言われないようにしたいですねw

 

 

 

日本の未来を考える。【読書録・前半】シン・二ホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成/安宅和人

 

 

昨年度読んだ本の中で一番良かった本。

読んだのはちょうど去年の緊急事態宣言下ですね。

 

前作の「イシューからはじめよ」は前の会社の上司に勧められて読んでいたけど、いまだに自分の仕事にかなり活きています(未読の方は是非)。

というわけで、今回も結構期待をして購入しました。

 

日本の現状を取り巻く状況とそれにともなう課題の整理、及びそれらに対しての解決策の提示を主にITと教育(人材育成)の観点から書かれています。

現在、教育関係の仕事に身を置いている自分には、とても示唆に富んだ内容で勉強になりました。

 

 

 

1.データ×AIがビジネスとマネジメントに与える影響

本書ではここについて、以下の7つをあげています。

 

  1. すべての産業がデータ×AI化する
  2. 意思決定の質とスピードが上がる
  3. 状況把握から打ち手まで一つのループになる
  4. 集合的なAIを作れるかのゲームになる
  5. マッシュアップエコノミーの時代になる
  6. 事業および収益構造が2重になる
  7. ヒューマンタッチがより重要になる

 

もちろん、自分に直接関わってくる部分と関わってこない部分はあります。

特に自分の働いている分野だとまだまだデータ×AI化は進んでおらず(というよりAI化なんて全然?)、これから取り組んでいかなければいけない点だなと思いました。

まあ、ある意味伸びしろがあるということでしょうw

 

ただ、昨今の様子を見ていると実は政治が最もこれらのことができていない分野な気もしてきます。

これは政治家にこれらの知見がないのか、官僚の問題なのか、大企業の問題なのか(基本的に政府が何かをやる時には政策過程からコンサルや大企業が入ることが多いと思われるので)、政治が産業ではないからなのか、ステークホルダーが多すぎるからなのか、利権があるからなのか…どれなのでしょうね。

なんとなーく、偉い人達の勉強不足なのではないのかとも思えますが。

 

2.今後の変化

本書では「国富を生む方程式の変容」として、以下のように変わったと述べています。

 

【oid game】

・市場でのプレゼンス・寡占

・既存の枠組みの中での規模と効率の追求

・既存のルールでのサバイバル

【new game】

・未来への期待感、寄与

・既存の枠組を超え、ICT、技術革新をテコに世の中をアップデート

・ジャングルを切り開きサバイバル

 

ここ数年でテスラの株価が急伸して、株価ではトヨタを抜いて世界一の自動車会社になったことがまさにこれをあらわしているでしょう(というか2015の時点でこれを書いているのが凄いですが)。

 

個人的な印象ではありますが、old gameの内容は日本が得意な分野であり、new gameの内容が昔から日本に求められてきているが苦手と言われている部分な気がします。

まあ、日本でいうとソニーやホンダの全盛期がnew game でしょうか。

 

こういった未来において、必要なものとして

未来は我々の課題意識、もしくは夢を何らかの技・技術で解き、それをデザインでパッケージングしたものと言える。つまり「未来=夢×技術×デザイン」だ。

必ずしも技術一辺倒だけでは未来を作れないということ。

 

これは重要ですよね。

 

課題を発見できる人=課題を解決できる人ではないのかなと。

どちらが凄いわけではなく、両方の資質が必要になってくると思います。

 

なぜそう思ったかというと最近上司に課題(この問題を解決したい)を与えられたのですが、よくそんな課題を組み立てられたなーと(というか自分の部署で対応しようと思ったなと)。

まあ、シンニホンに書かれているような大きな話ではないんですがw

 

3.日本の現状

デービッド・アトキンソン氏の著書にも詳しいですが、日本の現状は明るくないです。

 

日本自体のGDPは全然伸びておらず(失われた20年)、生産性はあがっていません。

 

本書で詳しく分析されていますが、分野によってはG7と大幅に差がついています。

これは、ものすごい技術革新を行って一位になるという話ではなく、

日本の大半の産業はやるべきことをやっていない

ということです。

 

自分の組織で振り返っても未だにマンパワーでどうにかしようという傾向にあり、生産性とは程遠いです。

それこそ、Ai-ready化されていない組織です。

 

Ai-ready化とは

本書ではまずはAi-ready化を目指すべきだと書かれています。

 

Ai-ready化とは以下のように書かれています。

Ai戦略を語る以前の課題が極めて深刻あり、そここそがボトルネックになっているということ

 

そして、Ai-readyな状況にするためのポイントが10個述べられています。

  1. 目的・目指す姿
  2. 扱える人材
  3. 対象となる分野、領域
  4. 作り込みのあり方
  5. データの利活用状況
  6. 市民/利害関係者のリテラシー
  7. データ処理力
  8. 革新の主体と推進状況
  9. 教育システム
  10. 社会全体のリソースの低下

 

…自分の組織にあてはめるとどうでしょう…なかなか厳しいですねw

トップからの目的設定からして全く「う〜ん」って感じですね。

 

Ai-ready化された組織

また、Ai-ready化された組織についても5段階で述べられています。

 

レベル1(Ai-ready化以前)

製造、物流、販売など基本業務のためのシステム運用とデータマネジメントは行っているが、Sler頼みでAi×データを使った事業の運営、刷新、創造については着手していない

 

レベル2(先進的な旧来の大企業/初期のネット系スタートアップ)

外部の専門家の力を借りてAi×データの利活用に着手しているが、取り組みは既存の人間の仕事(業務)をキカイに置き換えることが大半

 

レベル3(中〜大規模なインターネット企業の多く)

既存の業務の機械化にはめどが付き、今後の成長と事業刷新のための重要なレバーとしてAI×データの利活用を開始。これに向け、まとまったリソースの再配分が行われている。

 

レベル4 (Spotify,Toutiao他先端利活用企業)

Ai×データの力を解き放つことで、コア事業においてこれまて不可能だった夢や課題解決を実現している。未来を信じ、Ai-readyになるまでリソースを一過性でなく投下し続けている。

 

レベル5 (Alibaba,Alphabet,Amazonなど)

すべての事業、機能がデータ×AI化し、業界そのものの本質的な刷新を常時仕掛け、変容を引き起こしている。国内外の競合に対抗し得るレベルでAi-ready化に向けてリソースを投下できている。新しい試みがあらゆるところから雨後の筍のように日々生まれて、常に世界の最先端をリードし注目されている。

 

さて、自分が所属している組織がどの段階にいるかというと…

レベル5、レベル4は当然のことレベル3も達成していないでしょう。

じゃあ、レベル2はというと外部の専門家の力を借りるどころかAi×データ化の活用にほとんど着手できていない。

先程も書いたけど、マンパワーでどうにかしようという風潮がある(そこには人件費が高くないことと、雇用することの義務があるのかもしれませんが)。

 

というわけで、当然のごとくレベル1だなとw

 

じゃあ、自分の組織をどのように変えていくのかというと…

 

①トップダウン

ここは目的、目指す姿にもかかわってきますが、どのような組織していくかという話になるとやはりトップダウンは必要になってきます(というかトップの仕事でしょう)。

これはリソースの投下にも関わってきますしね。

これを課題と捉えられるトップであって欲しいですね。

 

②関係者

自分の周りのベンダーや組織外の関係者がどのような提案をしてくれるか。

もちろん、ベンダー頼みになってはいけないですが、ベンダーの能力・提案力でも十分に自分の組織は変わることができると思います。

 

③自分のできること

これについては学ぶしかないかなと。

学んだ上で、どう変えていくか提案すること。

まあ、仕事なんて端的に言えばそれの繰り返しだと思っていますがw

あとは、どこまで刺さる提案をできるか…ですかね。

 

4.まとめ

日本の未来に対する一つの解であり、心構えが書かれた名著だなと思いました。

データも豊富でこの分量でこの値段はお得だなとも思ったりw

いずれにしても、自分も30代半ばです。

社会人の一人として、未来の子ども達に何を残せるか真剣に考えて、アクションを起こしていかないといけないと思いました(大きなことはできないですがw)。

Ai、組織、人材育成と色々なことが一冊で学べるので是非読むことをオススメする一冊です。

 

 

キングダム、達人伝が好きな方にはおススメです!【読書感想】教養としての中国史/岡本隆司

緊急事態宣言下ということと、感染者数が爆発的に増えてきていることもあり、家ご飯が続いています。

まあ、家ご飯が好きなのでそれはそれでいいのですが、全然小洒落ていない街の中華料理屋さんで飲む瓶ビールが恋しいです。

 

さて、今回読んだ本はこちら。

 

教養としての「中国史」の読み方

教養としての「中国史」の読み方

  • 作者:岡本 隆司
  • 発売日: 2020/09/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

いやー、勉強になりました。

しっかりと中国史を最初から読んだことがなかったので歴史の繋がりがよく分かりました。

それと同時にお隣の大国である中国という国を全然知らなかったな…と。

 

ちなみに何故この本を読もうと思ったのかというと…友人が年末年始に「キングダム」を貸してくれて一気読みしたからですw

 

キングダム 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

キングダム 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

  • 作者:原泰久
  • 発売日: 2012/06/22
  • メディア: Kindle版
 

 

やっぱり売れている漫画は面白いですね。

 

ちなみにキングダムが楽しかったのでもう少し中国史を知りたいなということで続いてネットでオススメされていた「達人伝」もすぐに購入。

 

達人伝 ~9万里を風に乗り~ : 1 (アクションコミックス)
 

 

これも負けず劣らず面白い。

この著者の三国志を題材にした「蒼天航路」は好きだったのですが、「達人伝」も負けず劣らず素晴らしいです。

 

キングダムが秦の始皇帝側を描いている一方で、達人伝はその少し前からの秦以外の国側の視点(秦は敵)から描かれているんです。

 

これが実に面白くて…。

 

ただ、もう少し歴史背景も理解しておきたいなということで、読み始めたのがこの「教養としての中国史」でした(前置きが長くてすみませんw)

 

 

 

 

1.中国における儒教

中国において儒教は深く根付いており、そのことこそが中国を理解する上で重要なことの一つであると本書では述べられています。

 

儒教について自分が知っているものと言えば、親孝行しろとか年長者を敬えといった割と今にも通じるモラル的なことが書かれているものという認識でしたが、実はもっと深いものでした。

 

  • 現実の世界から誕生した自己中心思想(衣食足りて礼節を知る)
  • 儒教の理想社会は昔にある(改革は悪)
  • スペシャリストは評価されない
  • 儒教の射程は個人止まり

 

これらはあくまでエリートの人達だけに対して当てはまる部分もあります。

 

「士と庶」として、中国では明確にエリート層と庶民がわけられており、士については日本の武士とは違い、あくまで儒教に詳しい人なんですよね(科挙制度なんかもまさにこれですね)。

 

このあたりは、日本と少し違くて日本は割と文武両道が求められますよね。

 

また、西洋よりもはるかに進んでいた技術を持ちながら、社会経済の発展に結びつかなかったのかは儒教が大きく影響しています(ニーダム・パラドックス)

はっきり言えば、エリート層はひたすら儒教を学ぶのみで、技術開発は下々がやるべきものだという認識だったからです。

 

自分は先程書いた漫画からの知識しかないですが、こうしてみると「蒼天航路」で曹操が儒家を政治から一掃したがっていた理由がよく分かります(才能だけで推挙してましたもんね)。

 

本書の指摘としてとても面白いのが、中国共産党になって中国が今のような国になったわけではなく、元々こういう倫理の国であったということです。

このあたりは外圧などの影響を受ける中で変わっていった日本とは大きく異なる点でしょう。

 

 

2.中華と外夷

中国の倫理では、世界は中華外夷の2つに大別されます。

日本が過去に行っていた朝貢とは、中華の政治体型には属さないが、中華に対して「礼」を尽くしている国となります。

それ以外の国は、礼を失った「外夷=野蛮人」ということです。

 

このような儒教にもとづく「皇帝を中心とした世界秩序の構築」が体系として定着したことが現在の中国自体も形作っています。

 

中国の人が「国民国家」や「国際関係」といった観念をしったのは、つい最近、19世紀の後半になってからのことだからです。かれらはそれまで何千年間も「中国の論理」の中で生きてきたのです。

 

つまり、何千年間もそのような中で生きてきたわけで、それが染みついてしまっている。

だからこそ、中国は大国であろうとするし、国際関係がうまくいかない。

 

ただ、大切な点はその国、その国の理由があるということ。

国はそれぞれ成り立ちからすべて異なります。

あくまで、西洋的な視点だけで判断しないということ。ですね。

 

それにしても、バイデン政権になったので米中関係が今後どうなっていくのか気になりますね。 

 

3.中国と法律

 

中国も現在は一応表向きは「法治国家」ということになっていますが中国の場合は他の法治国家と法律の位置付けが違うのです。

日本もそうですが法治国家の基本は「RULE of Law」つまり法が納めるのですが中国の場合は「 Rule by Law 」つまり法で納めるのです。

これについては結構腑に落ちました。

法律は民意ではなく、昔で有れば天子であり、現代は中国共産党が決めるものなのです。

なので、香港での強行とも思える行為が行われるわけなのです。

 

また、中国で賄賂が横行している話はよく聞きますが(そういえば、先日どこかの国でも農水関係の方が賄賂をもらっていましたがw)、これにも儒教が関係してきます。

 

それは財政をできるだけ小規模に抑えなるべく税金を取り立てないことこそが善政とする儒教に基づく理念があったからです。

 

平たく言ってしまえば、税金をあげて官僚の給料をあげるよりも、賄賂のほうが儒教的にはマシということでしょう。

 

まあ、どこかの政治家は税金もあげるし、献金ももらっているような…w

 

 

4.まとめ

中国という国は一つの国を標榜しながらも、一度もまとまったことはありません。

また、「官民乖離」に「コミュニティへの強い帰属意識」といった日本の感覚からするととても「奇妙な」国だと改めて感じました。

ただ、著者が強く言うように儒教を背景にした国であり、日本とは異なる国だということを理解すること、西洋的な考え方が必ずしも正しい(その国に合う)わけではないこと。

この考え方はとても大切だと思いました。

使う文字や見た目や文化など似ている部分が多いからこそ、「理解している」という思い込みに陥りやすいなとも感じました。

 

また、中国の人たちは政府を信用しておらず、信用しているのはコミュニティのみ。つまりはバラバラ。

だけど、「一つの中国」を目指そうとする。

それはあれだけの広大な領土の中で「一つの中国」を目指さないとバラバラになってしまうのでしょう。

だからといって、中国が行っていると言われている非人道的行為は許されるものではありませんが。 

 

興味本位で読んだ本でしたが、思ってよりも分かりやすく、キングダムや達人伝の漫画に出てくる内容が一歩踏み込んで理解できるようになった気がします。

キングダムや達人伝が好きな方はもちろんのこと、中国史に興味がある方は入門としてとてもオススメです。

 

 

 

 

 

トランプ政権までのアメリカの現状がよく分かる【読書感想】グローバル資本主義VSアメリカ人/篠原匡

日本では2度目の緊急事態宣言がなされ、アメリカではトランプ派の議会占拠。

まるでクーデターでした。

まあ、さすがにトランプ氏も政権を移行する発表をしましたが…。

今年もなかなか激動な年になりそうですね。

 

さて、振り返って昨年度。

コロナ渦からのBlack lives matter。

そしてその後の大統領選から現在のトランプ氏の状況。

昨年は日本も色々ありましたが、アメリカも色々あった年だったと思います。

 

そんなバタバタと動いていたアメリカの現状を知ろうと購入した本。

でしたが、なんだかんだで読むのが年末になってしまいました(ブログを書き上げたのは今年になっちゃいましたw)。

 

グローバル資本主義VSアメリカ人

グローバル資本主義VSアメリカ人

  • 作者:篠原 匡
  • 発売日: 2020/02/06
  • メディア: Kindle版
 

 

 

現代のアメリカを生きる人を通して、アメリカの社会・経済を浮き彫りにした本作品。

 

華やかなアメリカの「B面」がみられて、とても勉強になりました。

 

現在、至るところで噴き出している問題の多くがグローバル資本主義が浸透した結果だと考えたことによる。一人ひとりの人生が大きく変わったのも、グローバリゼーションの進展や冷戦の集結、新自由主義の進展や人・モノ・カネの自由化の影響だ。そういった過去30年の変化をグローバル資本主義という言葉に込めた。

 

アメリカだけでなく日本も影響を受けた新自由主義

その結果がじわじわとアメリカという国を変えてきたのでしょう。

 

トランプ大統領の誕生はあくまで現象であり原因ではない。そして、その原因は冷戦崩壊後の米国の歩みと米国人一人ひとりの環境変化にある。格差や米国流の株式資本主義、人口動態の変化(白人のマイノリティ化)といった根本的な要因が変わらない以上、トランプを支持した声はなくならない。彼を批判さる民主党の左傾化も止まらないだろう。

 

トランプ大統領の出現は、ある意味時代の流れということでしょう。

特に、大統領や首相といった国のトップはその時代背景が大きく影響しています。

もちろん、その後の政策の結果は個人や政党の能力に依存してしまうとは思いますが。

 

 

 

B面として、本書に取り上げられているもので、気になった点をいくつかメモしておきたいと思います。

 

 

 

1.移民問題とプアホワイトの存在

米国という国は経済と国家のインフラを世界中に開放して優秀な人材を集め、使ってもらうことで国を繁栄させていく戦略をとっています。

なので移民についても基本的には厳しくなかったと思います。

 

しかしながら、過去の歴史として、不法移民(恐らく移民も含めて)が入ってきたことで、今まで働いていた人達の全体の賃金が下がったり、仕事を失ったりしています。

特に製造業などの白人がその打撃を受けており、プアホワイトという形で米国の新しい問題の一つとなっています。

この人たちが支持した人物こそ、トランプで自国第一主義でもあり、メキシコなどとの国境を厳しく制限した流れになります。(もちろん、国境を超えた薬物などの違法輸入なども問題ではあるでしょうけども)

 

この人たちを含めた貧困への対策がバイデン政権でうまくいくように願いたいですね。

 

 

2.教育

どこの国でも教育はとても大切で、教育改革は常に議論をされています。

日本でもギガスクールや1学級の生徒数を少なくするなどの方針が進められています。

もちろん、それは米国でも行われています。

 

レーガン政権は教育改革を国家戦略に位置づけた。それ以降の政権も、教育改革を政策の柱にすえている。

その方向性は、大きく言うと、学校に対する競争原理の導入とテストによる学校評価。その一翼を担ったのはチャータースクールである。チャータースクールとは公立校の一種で、補助金を受け取るが運営自体は民間企業やNPOという形態を取る小中学校のことだ。

 

また、併せてバウチャー制度を導入しています。

 

バウチャー制度とは公立校に通う低所得者の生徒を対象にクーポン券(バウチャー)を支給、チャーターや私立の学校を選べるようにするもの。

 

というわけで、一般の公立校の競争力はどんどん下がってしまう。

しかも、それに加えて米国の教育予算は固定資産税が財源の半分を占めることから、裕福な地域ほど教育予算が潤沢になってしまうため、貧困地域の公立校はかなり厳しくなってしまいます。

 

それに対して、プログレッシブ教育を導入し、改革をしてきた学校をとりあげています。

 

本書に書かれている通り、教育の成果を何と捉えるかが非常に難しいですよね。

学力の向上なのか、生きる力の構築なのか、民主主義を支える優れた市民の育成なのか…。

 

ただ、学校教育だけで全ての教育を賄うのは難しいですよね…。

やはりまずは地域の参画が必要(そういう認識から)であるとともに、家庭での教育とその他の社会教育を見直していくことが必要なのかと。

「教育=学校と先生」だけという考え方を払拭して、「どの教育を」「誰か担うのか」を明確にしていき、社会全体で支えていく必要があるのかもしれません。

 

また、ネイティブアメリカンの地域では、補助金を活用して、教師の初任給をあげたところ、優秀な教師が集まり、好循環がうまれた。

日本においても、教師の待遇改善が議論されていますが、実験的にこのような思い切った政策を行ってみるのも面白いかもしれません。

 

 

3.宗教とメガチャーチ

日本と米国の大きな違いに宗教の強さがありますよね。

 

伝統的な中小の教会が廃れていく一方で、社会のニーズを積極的に対応しようとしているメガチャーチ。貧弱なセーフティネットを教会が支えるという米国の構図は今に始まっまたことではないが、社会のゆがみが拡大する中でメガチャーチの果たす役割は増している。コミニュティの相互扶助という本来の姿に戻りつつあるのであれば、それは歓迎すべき話だろう。

 

日本社会でも同様に「地域のコミュニティ」が急速に消失していくことが一つの問題になっています。

それは、人口減少や少子高齢化はもちろんのこと、単独世代の増加もあげられるでしょう。

個人的には「新自由主義」と「相対主義(個人的には主張したもの勝ちみたいに捉えています…違ったらすみません)」の風潮が浸透したことも大きな理由の一つではないかと思います。

 

アメリカでは受け皿としての教会がある一方で、日本ではどうでしょうか。

もちろん、行政が救いの手を伸ばすことは当然ですが、どうしても法令上の問題により、漏れてしまう人たちが出てきてしまいます(また、予算や法令の整備の関係でどうしても救うスピードが遅くなってしまいます)。

NPOやボランティア団体が頑張ってくれていますが、「寝る場所」を用意するとなるとかなり予算が必要となってくるため、難しいと思います(もちろん、そういったことを行っている団体もいて凄いなと思います)。

 

そうなると、日本の宗教法人は誰を救っているのでしょうか。

本書でも記載の通り、メガチャーチが全てにおいて「良い」とは評価をくだしていません。

ただ、税金の免除を受けている中で、もう一度日本の宗教法人を見直してもいいのかなと思いました(もちろん、色々な活動を試みている宗教法人もあります)。

 

 

4.まとめ

アメリカの「B面」と言うとおり、華やかではないアメリカのリアルを知ることができました。

個々の人たちの生活を通して、アメリカの問題を浮かび上がらせる良書でしたね。

今後、バイデン政権がどのように内政問題に取り組んでいくのかは気になるところです。

現在のアメリカのリアルを知りたい人は是非一度読むことをおススメします。