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30代共働き庶民のサラリーマンです。趣味(ファッション・読書・映画・旅行・アウトドアなど)と時々仕事についての覚え書き。

アベノミクスに対する評価の一つとして。【読書感想】武器としての経済学


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最近は日本が経済的に低迷しているということもあり、政策と経済対策はセットですよね。

そのため、ニュース何か見ていても政策とセットで経済について語られることが多く、これは経済について勉強しなければなという思いから、経済系の本を読むことが増えてきました。

 

そんな中、今回読んだのはこちら。

武器としての経済学

武器としての経済学

  • 作者:大前 研一
  • 発売日: 2017/08/28
  • メディア: 単行本
 

大前研一さんの著書ですね。

発行が今から3年前ではあるのですが、コロナ以前の流れを知るには最新でなくてもいいかなと思い購入しました。

実際、十分すぎるほどでした。

大前さんの本は結構好きなのですが、相変わらず大前節は衰えていないですねw

 

それでは、以下メモと感想です。

 

 

1.日本の金融政策について(現安倍政権のです)

アベノミクス3本の矢というのは、

  • 大胆な金融政策
  • 機能的な財政政策
  • 民間投資を喚起する成長戦略

です。

 

ちなみにこれを書いている今日現在、ちょうど緊急事態宣言解除に伴い、3つの経済対策?が発表されていましたね。

 

ちなみに新三本の矢は

  • 希望を生み出す強い経済
  • 夢をつむぐ子育て支援
  • 安心につながる社会保障

です。

 

実際にこの中で実感として成果が出たと言えるのは、成長戦略における観光業ぐらいな気がしています。

あとは雇用の延長ぐらいですか?

まあ、このあたりは経済の勉強も兼ねて時間があれば、自分なりに分析してみたいですね。

 

さて、今回の本書についての前半はこのアベノミクスについての政策に対しての大前氏による指摘及び評価といったところでしょうか。

 

2.アベノミクスの金融政策について

これについて大前氏はアベノミクスの考えの元になっているケインズ的なマクロ経済は終わったと言っています。

そもそも百年前の理論を使っており、全くアップデートされていないと…(手厳しいですね)。

 

さて、実際に具体的に見ていきましょう。

①円安は日本経済にほとんど影響を与えていない

これについてはそうなのかも?ぐらいにはうすーく思っていたのですが、凄くスッキリしました。

経団連も政府も円安にやたら誘導したがるなと。 

確かに単純に考えれば、円が安くなれば海外に安く輸出できることから、価格競争で勝るため円安が良い。

というのが通説ではありました(実際に自分が受験勉強で習ったのはこの辺りの考え方)。

 

ただ、一方で円高であれば輸入するものは安くなります。

 

じゃあ、実際にどっちがいいのかなと??

 

これについて大前氏は、

  • 日本企業はグローバル化していること、また企業努力のため円高体制をつけている
  • GDPに占める貿易の割合における輸出依存度と輸入依存度の差に対する為替の影響度は、全体で見ればわずかである

という理由で、あまり関係ないと伝えている。

 

実際に確かにそうだよなと思います。

まあ、企業によっては日本で製造していて輸出の割合が高いとなると、円安の恩恵を受けやすいでしょうけれども(実際にそんな企業は多くない感じがしますが、どうなんでしょう)。

 

むしろ、円安であることにより海外観光客にとっては嬉しいことであり、観光業の促進のためということであれば割と納得がいきますけどね。

 

というわけで、10円単位の上下ではそんなに大差が出ないのであれば、個人的には海外旅行で得をする円高になってくれたほうが嬉しいですw

 

 

②インフレ期待による需要喚起は日本人の精神構造にない

「2%の物価目標を達成する」というのは黒田日本銀行総裁が常に目標に掲げているものですよね。

ちなみに全然、目標が達成できていないみたいですが…この責任は誰のせいなんでしょうw

 

↓ちなみにこのNHKのサイトが分かりやすかったです。

どうして2%?おしえて日銀の物価目標 |サクサク経済Q&A| NHK NEWS WEB

 

さて、これについても大前氏は以下のように説明しています。

黒田総裁は、デフレから緩やかなインフレへと期待を変えて、消費や投資を促して需要の拡大につなげる。

近い将来、モノの値段が上がるのだから、上がらないうちにモノを買ったり、投資したりするはずだ、という理屈である。だから金利を下げて市場にマネーを投入すれば景気が良くなると考えているらしいのだが、この21世紀に100年前のカビ臭い理論を持ち出してきたことに驚く。

現在の日本には「いま買わないと損だ」というものはないのだ。

 

確かに、実際にはどんどん値上がりするか今のうちに買っておかなければみたいな空気はないかなと思います。

正直、家や車もみんな割とタイミングが来たから買う程度なのではないかなと。

 

これはマイナス金利政策においても同様のことが言えるかもしれないですね。

マイナス金利だから家を買うかと言われると、タイミングで検討し始めるとしか言いようがないですから。

 

実際の目的としては、よく言われるインフレすることによって国の借金を減らることができるというほうが目的として適っている気がしますが(個人的には、年金などの価値が減って、貧しい人がより貧しくなりそうな気がして、インフレもどうなのかなとは思いますが)。

 

 

③日本の株価は日銀とGPIFによる官製相場

官製相場と揶揄される日本の株価ですが、どうなんでしょう。

 実際にコロナショックにおいても下げ止まった感がありますが、個人的にはもっと下がってもかしくないのではないかなと思っていました。

もし、これが官製相場により支えられているとしたらどうなんでしょう。

 

そもそも株式とは、「企業が将来得るであろう利益を織り込んだ現在価値だ」。その定義に戻ると、日本の上場企業の中に今後の成長=株価が上昇する、と見込める企業がどれだけあるだろうか?残念ながら、ほとんど見当たらないと私は思う。

また、日銀とGPIFがインデックス買いをしているため、経営者は株価をあげるために自社の業績を上げようと必死で努力するというモチベーションがあまりなくなっている。逆い、自社の経営的な悪材料は積極的に公表することを避けるなど、できるだけ目立たないようにしている会社ばかりだ。

 

結果として、経営に切れ味がなくなってくる懸念があるということでしょうか。

ある意味、どんどん社会主義化してしまっている気もしますが…。

 

公的マネーによる「官製相場」は、これまで世界でも成功例がほとんどない

 

んー、まあ普通に仕事で考えても歪んだことを行うとどこかで必ずひずみが出てくると思います。

今回の「官製相場」が失敗に終わったときに一般市民に及ぼす影響についてはちょっとゾッとしますよね。

 

 

④景気はみんなのフィーリングで決まる

これは、結構面白かったです。

確かに景気って景況感と言われることが多く、実際に景気が良くなったとみんなが思えば景気は良くなったということらしいです。

なんともあいまいなことにびっくりしましたw

 

また、話題だったオリンピックについてもロンドン五輪やリオ五輪については景気が良くなるどころか、五輪後は大きく落ち込んでしまったらしいです。

インフラ投資といっても新興国ではあれば大きな期待はできるものの、東京五輪について言えば無駄なものを作っている税金の無駄遣い割と今後の使い道が限られているものが多いような気がしますしね。 

 

 

⑤税制について

消費税が10%に増税される前の著書であるので、消費税が8%の時での話であるが参考になりました。

消費税10%については、自分のお財布は痛むけれど、日本の国におけるサービスを考えたら 仕方ないかなとは思っていました。

ただ、一方で法人税減税についてはんーという感じです。

トリクルダウン(今はあまり聞かれなくなったけど)や外国企業の進出を呼び込むことから、推進されていたかと思いますが、実際結果はどうだったんでしょう。

 

シンガポールは17%、韓国は10~22%、ベトナム、タイは20%、ことごとく日本より低く、労働賃金も日本より安価だ。外国企業がわざわざ日本を選ぶ理由があるとすれば、マーケットが人材に魅力を見出した場合だけだろう。少しぐらい法人税を下げても、大きな変化はないのである。

と、本書にも書いてある通り、法人税減税については結果として日本の運営にプラスに働いたのかは謎ですね。

 

もちろん、日本税収のことを考えなければ、法人税はなくしてしまって企業誘致に繋がるかもしれませんが、そういわけにもいきませんからね。

 

また、法人減税した税収分はどうしたのかなと。

これの代替として消費税増税だとしたら、経済弱者への負担を増やすことになりますし、どうなのかな~と思ってしまいます。

 

個人的には、法人税を引き下げるよりも、より労働環境が改善されるなどの施策にお金を使うことで、「高い金をとるけどサービスはいいよ」みたいなほうに舵を切っても良かったんじゃないかなと思いますが…まあド素人が思いつくことは偉い方々は思いつかれているとは思いますがw

 

もちろん、今後については大前氏が述べているように税制を変更していくことも大切だと思います。

 

 

 3.まとめ

アベノミクスに対する大前氏の意見が書かれており、現政権の政策に対する一つの回答して分かりやすかったです。 

もちろん、推進されてよかった部分もありますし、評価されるべき政策も多くあるでしょう。

それ以前に、自分みたいな素人が好きかって言いやがってみたいなところはあるかと思いますがw

現在(コロナ前の)の日本の経済政策がどのような考え方において主導されているのか知るのにはわかりやすくおススメです。

ちなみに感想では、現在の日本経済の分析についての部分しかあげていませんが、今後の日本についても提言も書かれているので勉強になりますよ。

そういえば、アベノマスクの第3番目の企業の件はなんとなく国会でもマスコミでも有耶無耶に終わった感があるけど、どうなったんだろうか…。