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30代共働き庶民のサラリーマンです。ファッションや読書や映画や旅行やアウトドアなどについての覚え書き。

多様性が必要とされていく社会で、考えなければいけないこと。身につけなければいけないこと。【読書感想】僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー/ブレイディみかこ


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なんとなーく気になっていた作品。

本屋にも結構置いてあったし、題名も割と独特だったけど、内容がよくわからなくて手にとっていなかったんですよね。

 

それでもやはり気になったので楽天のお買い物マラソンに合わせてポチッとすることに。

 

 

 

 

いやー、やっぱり世間で評価されている作品は読んでおくべきですねw

めちゃくちゃ面白くて一日で読破しちゃいました。

 

内容としてはハーフ(著者のブレイディみかこさんは日本人のイギリス在住で旦那さんはイギリス人)の息子さんが、由緒正しい学校から中学に上がるタイミングで、地元の(荒れ気味の)中学校に行くことで、起こる事件を通して、社会の問題を描いていく内容。

 

特に差別と多様性、イギリスの教育制度について凄く勉強になりました。

 

 

 

 

1.差別と多様性、そしてエンパシー

今年は特に人種差別について世界的に大きな話題になっていますよね。

「Black lives matter」日本語訳は(色々と議論があるみたいですが)、「黒人の命は大切だ」ということ。

 

個人的な感覚からすると黒人差別については、もう過去の話だよね~(特に日本では)と思っていました。

むしろ、ヒップホップ文化など黒人を「クール」として捉えているのが日本の若い世代の全体的な潮流じゃないかなとも思っていました。

 

と思っていたところ、日本での記述も…。

 

もちろん、黒人だけだはなく「人種差別」ということでは、日本でも人によっては未だに「人種差別」的な考え方を持っていたり、子どもにおいてはいじめがあるでしょう。

 

本書を読んで気づかせてくれるのは、米国では実際に多くの人種差別問題が起きているし(黒人だけでなく)、それは英国でも同様だということ。

 

そして、それは恐らく日本を含めた世界中でも当てはまるだろうということ。

 

まあ、隣国同士が仲が悪いことはよくあることですが(自分がバックパックでまわった経験から言うと大体隣国同士は戦争したりしてるので仲が悪いですw)、人種差別というのは自分達の世代で終わりにしたいですよね。

 

むしろ、日本はこれから移民を受け入れていく可能性がある上で、こうした人種差別がいいことを生み出すとは決して思えないですし。

 

多様化したレイシズムには様々なレイヤーが生まれていて、どんどん複雑になっていく。移民と言ってもいろんな人種がいるし、出身国も違う。移民の中にも人種差別的な言動を取る人はいるし、やられたらやり返す人もいる。その攻防戦を見ている英国人は英国人で、どちらかの肩を持って他方に差別的言動を取ったりする。

 

これは今後、日本も間違いなく直面することでしょう。

結局、少子高齢化の中で①AI等を活用した生産性の向上、②高齢者の労働力の活用、③女性の社会進出ということで、生産性を維持しようとしていますが、やはり労働力の確保という側面では移民を受け入れていく可能性も0ではないと思います。

また、レイシズムが多様化していくと、社会問題として認知されないレイシズムが起こりうる怖さがありますよね。

 

どれかを一つ選べとか、そのうちのどれかを名乗ったかでやたら揉めたりする世の中になってきたのは確かである。

分断とは、そのどれか一つを他者の身にまとわせ、自分のほうが上にいるのだと思えるアイデンティティを選んで身にまとうときに起こるものかもしれない、と思った。

 

このあたりは、第二次大戦中のナチスや日本を思い浮かべますよね。

政治がアイデンティティを操る怖さはここにあるんだろうなと思います。

社会から多様性が失われる怖さ、それが誰かの誘導であればよりよくない結末しか生まないですよね。

人間よほど「できた人」でない限りは 、優越感は心地の良いものですからね。

だからこそ、教育や学びが重要だなと改めて思います。

 

シンパシーのほうはかわいそうな立場の人や問題を抱えた人、自分と似たような意見を持っている人に対して人間が抱く感情のことだから、自分で努力をしなくとも自然に出てくる。

だが、エンパシーは違う。自分と違う理念や信念を持つ人や、別にかわいそうだとは思えない立場の人々が何を考えているのだろうと想像する力のことだ。

シンパシーは感情的状態、エンパシーは知的作業とも言えるかもしれない。

 

シンパシーという単語は知っていたけれど、エンパシーは初めて知りました。

大切な感覚だなと。

共感ではなく、想像すること。

同じようなバックグランドや自分の経験や考えが同じ人であれば、共感できるでしょう。

ただ、次のステップとして、自分と考え方や立場の違う人のことを想像すること。

ずっと前に読んだ本でちょっと記憶が定かではないけれど、森達也さんが著書で似たようなことを書いていた気がします。

 

個人的にはエンパシーを伸ばすには、やはり多くの本を読み、映画やカルチャーを知り、歴史や宗教などを学び、旅に出て経験するしかないのかなと思います。

まあ、この辺りは出口治明さんと同じ考えですかねw

 

 

2.経済格差、貧困問題

人種差別は違法だけど、貧乏な人や恵まれない人は差別しても合法なんて、おかしくないかな。そんなの、本当に正しいのかな?

 

人種差別は生まれ持ってのものだから、問題が顕在化しやすいですが、貧困への差別は問題をとらえることが難しいですよね。

貧困になるのは個人の努力不足やどこまで(どのように)解決すべきかが明確ではないからです。

ただ、貧困問題も個人の問題ではなく、社会の問題という側面もあるし、個人の資質だけというわけではないでしょう(これはお金持ちにも当てはまりますよね)。 

 

もう授業やクラブ活動のためだけに学校予算を使える時代じゃない。貧困地区にある学校は、子どもたちの生活というか基本的な衣食住から面倒を見なければいけない。

 

少なくとも、子ども達には経済格差に関わらず、生活と教育を提供してあげたいですよね。 

 

現実問題として政府があまりに小さくなると、「恵まれない人に同情するならあなたがお金を出しなさい。そうしないのなら見捨てて、そのことに対する罪悪感とともに生きていきなさい」みたいな、福祉までもが自己責任で各自それぞれやりなさいという状況になるのだ。

 

格差がますます大きくなる中で、日本でも同様の問題は起きてくると思います(実際には起きていると思っています)。

親かその子供のどちらかが、お金を持っていればなんとかなるでしょう。

実際には、経済的にいい時代を過ごし、年金を含めて経済的に豊かな支援を受けている親世代がお金を持っていて、子どもにお金を回しているという構図が多いと推測されます。

しかしながら、親がお金がない場合に、今後の日本経済が先細っていく中で、貧困問題が解決されていくとはなかなか想像しがたいとは思います。

この辺りは、マスコミや政治家が社会問題としてしっかりと捉え、金融政策頼みではなく、経済政策をしっかりと打ち出すともに、投票率の少ない世代へのケアを行ってほしいと思います。 

 

 

3.イギリスの学校政策について

英国では、公立でも保護者が子どもを通わせる小・中学校を選ぶことができる。定期監査報告書や全国一斉学力検査の結果、生徒ひとりあたりの予算など詳細な情報を公開されていることが義務付けられていて、それを基にして作成した学校ランキングが、大手メディアのサイトで公開されている。

これは、なかなか面白い取り組みだなと思いました。

実際に、私立を除いて小・中学校を選ぶという発想が日本にはないですしね。

まあ、もちろん学力だけではない評価軸を用意することが重要だと思いますが、日本もこういった学校改革を行ってほしいと思います(もちろん、教員の方々の負担にならないようにですがw)。

 

 

4.まとめ

いやー、やはりベストセラーには理由がありますねw

読まず嫌いは駄目だと改めて思わされる、素晴らしい本でした。

 

そして多様性について、コロナ禍である今だからこそ考えさせらることも多く、本当に勉強になりました。

 

自分たちが正しいと集団で思い込むと、人間はクレイジーになるからね。

 

コロナ禍の今こそ、この言葉は一人一人が思い出さないといけないですよね。

何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」だなと。

 

それにしても、いい本でした。

学校の読書感想文の指定本?になっているらしいのもうなづけます。

ただ、自分達の世代よりも若い世代の子達の方が、様々な問題について小さい頃からぶつかっていることを思うと、未来は明るいな~なんて思ったりします(自分も頑張らねばですがw)。

読まれていない人は是非読んでみてください。

おススメです。