今更ながら、初めて見ました。
元々評判は聞いていたし、是枝監督の作品ということでいい映画なんだろうなと思ってはいたんですが、なんとな~く観る気がおきず…。
Netflixでみられるようになっていたので、相方と観ることに。
以下、あらすじ(ネタバレを含みます。)
治(リリー・フランキー)と息子の祥太(城桧吏)は万引きを終えた帰り道で、寒さに震えるじゅり(佐々木みゆ)を見掛け家に連れて帰る。見ず知らずの子供と帰ってきた夫に困惑する信代(安藤サクラ)は、傷だらけの彼女を見て世話をすることにする。信代の妹の亜紀(松岡茉優)を含めた一家は、初枝(樹木希林)の年金を頼りに生活していたが……。(シネマトゥディより引用)
正直言うと、観終わった感想は「えっ、これで終わるの」でした。
いやいや、最後ハッピーエンドで終わってよと。
当然、万引きは犯罪行為ですし、犯罪行為は認められるべきではありません。
人と人が幸せに生きるためのルールだからこそ、どんな理由であれ犯罪行為を肯定するわけにはいかないでしょう。
けれど、今回の「万引き家族」を観ていると心のどこかで許してしまうというか、仕方ないという感情が芽生えてきてしまいます。
それこそ、駄菓子屋さんが祥太に「妹にはやらせるなよ」と言ったように…。
それだけ、本作の前半部分の完成度が凄いとも言えるのですが。
もちろん、この映画は万引きなどの犯罪行為を助長しているわけではなく、終盤にかけて一気に物語が展開していきます。
一つは祖母初枝の死。
もう一つは祥太の成長。
最後は、万引き家族はバラバラになって終わるわけですが、そこには救いが全くなかったかというとそうではないのかなと。
赤の他人が一つの家に疑似家族として住んでいたにもかかわらず、そこには本物の家族のように幸せな家庭が一瞬でもあったこと。
また、祥太の成長、結果として母としての信代の成長があったこと。
孤独、貧困、家族、教育…現代社会を取り巻く多くの問題を多面的に捉えて、一つの作品にされていることは本当に凄いと思いました。
もちろんのこれらの問題に対して、個々を細分化して一般化して正論を言うと、警察官が信代に対して伝えた正論になるでしょう。
虐待する血のつながりのある親と、優しくするけど犯罪を容認する血のつながらない親。
どちらがいいかと問われた場合、「血のつながりのある親」でしょう。
そこには「虐待する」といった要素は加味されずに「血のつながりがあるかどうか」で判断される。
ただ、それが子どもにとって幸せであるのか。
他の選択肢はないのか。
一般化できない(してはいけない)問題に対してどうアプローチしていくか考えさせられました。
ただ、同時に日本が今と比べて相対的に貧困化していく中で、映画の中だけの出来事じゃないなとも。
また、併せて出演者の演技が素晴らしいです。
樹木希林、リリーフランキー、安藤サクラは当然のこと、松岡茉優、子役の2人も素晴らしいですね。
どこを切り取っても絵になるような映像もさすがでした。
映像が心に染み入ってくる。まさにそんな感じでした。
他にもいろいろな観点から考えさせられる映画でした。
何度も自分の中で反芻したなるような感じでしたね。
是非、ご覧になっていない方は観るのをおススメします!