本日は読書感想。
ちきりんの中身の人と言ううわさの元マッキンゼーの伊賀泰代さんの本。
前回の読書に続いて、争点は引き続き組織力の最大化のためにどうするか。
で、割とそこでキーワードになるのが「生産性」。
まあ、というかいまの日本に必要とされているキーワードですね。
1.生産性とは
生産性は
生産性=得られた成果/投入した資源
で表すことができ
言い換えれば
生産性=アウトプット/インプット
です。
ちなみにちょっと調べたのですが、生産性といっても労働生産性や全要素生産性など実は色々な生産性があるんですよね。
まあ、この辺り詳しく知りたい方はこちらをみるといいと思います。
ちなみによく効率化と混同されがちですが、大きく異なります。
効率化は生産性のインプット(投入した資源)を減らすための手段であり、効率化でコストを削減したとしても全体パイは増えないこともあります。
例えば、生産性は1人あたりの稼ぎを増やしましょうという話であり、効率性は会議を短くしたり、無駄な仕事をなくしましょうという話。
効率性はあくまで、生産性の1要素であり、
必ずしも効率性の向上≠生産性の向上ではないということです。
2.組織全体で生産性向上に取り組むことでイノベーションに必要な2つの要素が生まれる
伊賀さんは生産性向上に取り組むことで2つの「イノベーションに必要な要素」が生まれると書いています。
そのイノベーションに必要な2つの要素とは
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Time for innovationイノベーションのための時間的な余裕
-
Motivation for innovationイノベーションのための強い動機付け
です。
①Time for innovation
これは分かりやすいですね。
何か新しいことを考えろと言われても、普段の仕事に忙殺されていたらそれどころじゃないですからw
やっぱり、余裕が大切ですね。
②Motivation for innovation
これは少し面白くて、
ビジネスイノベーションが起こるにはその源として常に「問題意識」と「画期的な解決法への強い希求心」の2つが必要である。
そのためには、生産性という概念を日常的に強く意識させておくことが大切である。
ということでした。
確かに、 何も考えずにルーティーンをこなしていたら、なかなか新しい考えは出てこないですよね。
自分としてはこういった「問題意識」として、前向きな仕事(会社・社会)を良くするという気持ちと併せて、「面倒くさい」という気持ちも大切にしています。
だって、面倒なことがなくなるって自分にとって凄い大切なことだと思うし、イノベーション(とまではいかなくても改善レベルでも)への強い気持ちになりうると思うんですよね。
何より、常に前向きな気持ちでいられるって凄く大変だし、常に維持できるものではないと思いますし。
ちなみに本書ではイノベーションを2つに分けています。
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技術的分野のイノベーション知的好奇心が元となり、研究上、技術上の画期的な発見と発明のこと
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非技術分野のイノベーション(ビジネスイノベーション)現実の問題認識から問題解決への強い希求から生まれるもの
この分類は大切ですよね。
イノベーションというと技術的分野で捉えがちですが、ビジネスイノベーションと呼ばれるものの方が文系の自分としては身近に感じられますからね。
3.人を諦めない組織へ
本書で最も大切だなと思ったのは実はこの部分。
組織として生産性向上を図っていくうえで、
「社内選抜に漏れた中高年社員グループ」への対応が大切だということ。
(もちろん、トップパフォーマーへの処遇もあげられています)
「必死で頑張ってきたのに、自分は選べらなかった」という事実自体が
彼らのモチベーションを減じるため、何らかの手立てを講じない限り、
組織の中に「やる気をそがれた人たち」が大量に生まれてしまうのです。
いやー、これは凄く分かります。
特に自分の働いている場所ではまだまだ、組織としての人材育成という考え方があまり浸透しておらず、OJT次第なところがあるというのが現状です。
人事としてはこういった層に何かを働きかけるわけではなく、 「配属」だけで問題を解決しようとして(した気になって)、結果「どの部署にも働きの悪いおじさんがいる」という状況を生んでしまうという…。
結果として、若手からは冷ややかな目線でみられてしまい…という悪循環が課題だなと思っていました。
じゃあ、どうすればいいのか?
「会社は、まだあなたたちに期待している」というメッセージを伝えること
「現在、自分が出している成果が、求められているレベルと比較してどれくらい低いのか。何が足りていないのか」さえ伝えられていない。
詳細で具体的なフィードバックを与えられると、人は「自分の仕事振りを、きちんと見てもらえている」と感じることができます。それが「これからも頑張ろう」というモチベーションに繋がるのです。
ポストについては空きがないかもしれないけど、やっぱり人って自分のやったことを褒められたいし、評価されたいものだよなと。
それはいくつになっても変わらないし、そういう組織であるべきだと思いました。
「最も伸びしろの大きな層」と「非常に人数の多い層」の成長支援に本気で取り組めば、組織全体の生産性をあげるために大きな効果が期待できます。
自分の組織もこうなってくれるといいんですけどねw
4.まとめ
生産性について分かりやすく書いてあり、入門書としてとても読みやすかったです。
さすが、人事が長かっただけあって、人材育成の視点や管理部門における生産性の評価(昨年度と比較した生産性の変化率=成果/投入資源)など、とても勉強になりました。
自分はまだマネジメント層ではないですし、「社内選抜に漏れた中高年社員グループ」になり得る可能性は十分にありますが、若手に尊敬されるといかないまでも、「ジャマおじ」にならないように、自己研鑽を積んでいきたいなと思いますw