Kindleでセールになっていたので購入した本。
最近はすっかり紙ではなくて電子書籍派になってしまいました。
どこでも持ち歩けるし、スマホで読めるのでスキマ時間にもってこいですしね。
さて、この本はノーベル賞を受賞した山中伸弥先生の本。
内容としてはiPS細胞を発見するまでの山中氏の伝記に近い本です。
山中氏は医学部を卒業し、整形外科の道に行こうとするも、途中で研究者の道に入り、iPS細胞を発見して、ノーベル賞を受賞した方。
自分は伝記という類いの本を読む目的が3つあります。
- 「人生とは何ぞや」というものを知る
伝記には人生の結果が書いてあるので、特に自分がこの先どうするか悩んでいるときにとても勇気づけられるし、役立ちます。 - その人の考え方を知る
これは本の書き方によりまちまちですが、その人がなぜその行動をしたかの「考え方」を知ることができるので、自分の考え方との違い(いい、悪いは別として)を知ることができます。 - 専門分野の知識を得る
伝記は大体何かを成し遂げたことなので、それについての知識を得ることができます。
ちなみに今回は1.と2.が9割、3.は1割程度ですかね。
そういう意味では今回の本はとてもためになりました。
ちょっと分量が多くなってしまったので目次に分けました。
1.人間万事塞翁が馬
本の中で『ぼくの好きな言葉の一つに「人間万事塞翁が馬」があります。』と書いてありました。
これは人生における幸、不幸は予測できないことを表す中国の古いことわざで、自分も好きな言葉のひとつです。
ただ、山中氏が言うと説得力が全然違いますけどねw
山中氏自信も研修医時代に怖い先生にあたり(今で言うパワハラ?)、自分の能力に限界を感じて研究者の道を志します。
その後、研究者としても1つのゴールに向かって突き進むというよりも、その都度人生のタイミングによって方向性を変えています。
まさにことわざ通りの人生を歩み大成された方ですよね。
ただ、どのようなときも努力を怠ってはいないです。その場、その場で全力を出しつつ、人生の岐路では固執することなく職場も仕事も変えていく。
いいですよね。自分の仕事観もこのことにかなり近いです。
2.仕事観
まあ、仕事観というか仕事に対しての取組み姿勢というのですかね。
先生のいうことをあまり信じてはならない。いまの教科書にAはBであると書いてあっても、一〇年後の教科書にはAはCであると書いてあるということは科学の世界ではしばしばあります。先生の考えをそのまま信じこまず、真っ白な気持ちで現象に向きあうこと。先入観を持たないこと。
やはり、世界のトップ研究者の方々というのはこのような意識で仕事をしているんだなと。
ただ、これは自分自身の勉学や努力の裏打ちがあってのでしょうけれども。
まあ、サラリーマンだとなかなかこのような考えで仕事をするのは難しいと思いますが、たまにはこのような意識で自分の仕事を振り返らなければと反省しましたw
日本人はハードワークが得意です。夜遅くまで働く人、土日も働く人が日本には大勢います。しかし、いつのまにか目的を見失い、なんのために働いているのかわからない状態に陥ってしまう。ぼく自身にもそういう自覚があったので、メーリー先生のVWの教えが心に響きました。
これも大切だなと。ただ、自分はハードワークが苦手なんですよね…寝ないと無理な人間なのでw
もちろん、忙しい時期は土日も出社するし終電帰りもしばしばなのですが、本当に必要ある仕事なのかと疑問になることもありますよねw
翌年度は必要ない仕事はどんどん削除できるようにしていきたいですね。
3.自己啓発本について
山中先生がまさか自己啓発本を読んでいるとは思わず、こういったところも凄く共感できましたw
人生の教科書といいますか、自己啓発本もよく読みました。ほとんどは「なんやこれ」ですが、苦しい時期だったせいか、中には共感できる本もありました。別の機会に読んだら、「なにをいうてんねん」と思うかもしれませんが。
何度も読んだのは『仕事は楽しいかね?』(デイル・ドーテン著、野津智子訳、きこ書房、二〇〇一年刊)です。結局、この本のタイトルの通り、仕事も楽しむしかないのかなと思っています。
こういう本から学んだことはいろいろあります。一〇回のうち一回成功すればいいというくらいの気持ちでチャレンジしようとか、やるかやらないかの選択を迫られたとき、やらなくて後悔するくらいなら、やってから後悔しようといったメッセージには、とても共感しました。いまでも新しいチャレンジをするように心がけています。
いちばん辛いときは、その辛さを克服できる一歩手前だというようなことを書いているものもありました。「やっぱり飛ぶためにはかがまなあかんねんや」と励まされましたね。
自分の自己啓発本に対する意識は、リポビタンD的な役割で、仕事へのやる気がない時などに読んでやる気を出していますw
ものすごく仕事に対して悩んでいた時期があって、「仕事は楽しいかね?」も読み凄くためになったのを覚えています。
4.細胞の設計図
すごい興味深かったのが、全ての細胞は自分の体の各パーツを作るための設計図をすべて持っているということ。
これには2つの説があって、①腸になるべき細胞は腸の設計図のコピーだけを受け取ること②各細胞に必要なしおりを挟んだうえで設計図をすべて渡すという方法。
人の細胞は②なのですが、生物ってすごいなと。そして生物系の研究者っていうのはこういったことを研究しているんだなと。
IPS細胞もこの理論をがあるからこそ、万能細胞として他の体の細胞を作り出すことができるんだなと。
生物の不思議おそるべし…。
5.まとめ
世界的な偉大な学者がどうやってIPS細胞を発見したのか。
そこにいたるまでの考え方や悩みがつづられている読み応えのある本でした。
自分の研究テーマがころころ変わって自信が持てない時にノーベル生理学・医学賞を受賞した利根川先生にこんな質問をされています。
「日本では研究の継続性が大切だという意見が多いのですが、先生はどう思われますか」
それに対して、利根川先生の答えは「研究の継続性が大切だなんて誰がそんなんいうたんや。面白かったら自由にやったらええんやないか」というような趣旨の答えだったそうです。
人生は自由だし、仕事なんてさらに自由だよなと考えさせてくれますね。
というわけで、IPS細胞に興味を持っている人だけでなく、仕事や人生に悩むサラリーマンにも役に立つ本でしたw