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30代共働き庶民のサラリーマンです。趣味(ファッション・読書・映画・旅行・アウトドアなど)と時々仕事についての覚え書き。

大切なのは超専門化か幅(レンジ)か【読書感想】RANGE(レンジ)知識の幅が武器になる/デイビッド・エプスタイン


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いやー、北京オリンピック盛り上がっていますね~。

前半戦が終わった中で、自分の中で一番印象に残っているのが、男子スノーパイプの平野選手ですね。

2回目の採点に対して、3回目全く同じ技をさらに完成度をあげて成功させる。

かっこよかったです。

 

 

さて、今回読んだ本はRANGE(レンジ)。

評価が高かったので買ってみた本でしたが、とても勉強になりました。

 

・著者:デイビッド・エスプタイン

・発売日:2020/3/26

・出版社:日経BP

 

 

 

1.様々な分野で経験を積むこと

オリンピックをみていると、多くの選手が小さいころからそのスポーツに打ち込んできたというニュースが良く流れてきます。

本書でも代表例としてタイガーウッズをあげています。

 

そして、その学習方法の代表が「1万時間の法則」であり、「意識的な練習」でしょう。

 

これについては、割と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

自分もこのことを漠然とその通りだな~と本書を読むまでは思っていました。

当然、これ自体が間違っているわけではありません。

 

ただ、世の中の全てのことにこのことをあてはまることができるのか??

 

著者によれば、それは実は違っていると。

 

問題があいまいで、明確なルールがない『意地悪な世界』では、「幅(レンジ)」が人生を生産的、かつ効率的にするための術となる。

 

むしろ

 

狭い分野の専門特化が「意地悪な」領域と組み合わさると、「よく知っているパターンに依存しがち」という人間の傾向が大きく裏目に出る。

 

ということでした。

 

特に、VUCAと呼ばれる現代において、本書で言われる「親切な学習環境」であることは少ないでしょう。

だからこそ、一つの狭い分野へ専門特化するのではなく、多様な経験を積むこと、広い分野で学ぶことが大切であるということですかね。

 

確かに、アイデアと呼ばれるものは、他の分野のものを持ってきたり、何かと何かを結びつけるものだとよく言われます。

 

自分自身もビジネス本を読む目的としては、そういった他の遠い分野の知識や思考プロセスを学ぶことで、自分の業界で活用するためということが大きいです(活用できているかは別として…)。

 

また、優れた人たちと言うのは往々にして、自身の専門分野以外も学んでいたり造詣が深いなという印象があります。

 

一方で、実際に日本でこのRANGEの考え方が浸透しているかと言うと…まだまだそんなことはないのかなーと。

当然、アメリカでこのような本が書かれているということは、アメリカでもタイガーウッズのような学び(早期から練習し続ける)が推進されているということなのでしょう。

 

まあ特に、日本には継続して続けることが美徳という考え方がまだまだ根深いですからね。

ただ、実際に国の調査でも多様な体験活動がその後の成長に好影響を及ぼす結果と言うのも出ています(ここでは体験がおされていますが)。

令和2年度青少年の体験活動に関する調査研究結果報告 ~21世紀出生児縦断調査を活用した体験活動の効果等分析結果について~:文部科学省

 

日本でも、より教育及び人生にRANGEを許容するようになるといいなと思います。

 

 

2.石の上にも三年か?

この本を読んでいて思い出したのが、自分が最初の会社を転職した時に悩んだこと。

3年立たずに転職したのですが(仕事以外の諸事情はあったのですが)、よく言われたのが3年はいたほうがいいというアドバイスを受けました。

 

このあたり、本書は「マッチ・クオリティー※」という概念と併せて説明されています

※ある仕事をする人とその仕事がどれくらいあっているか、つまり、その人の能力や性質と仕事との相性を表す言葉

 

マッチクオリティーの向上による効果は、スキル取得の遅れによるマイナス分を上回る。

学問やスキルを学ぶことは、自分自身について学ぶことほど重要ではない。

 

つまりは、自分に合う仕事を探す方(個人的に解釈するならば、色々な体験や学びを得て、自分自身を理解することを探索すること)がとても大切だということですかね。

 

本書ではさらにこう書いてあります。

 

「勝者(自分のドメインでトップに立つ人)」は合っていないと感じたら早くにやめ、やめることについて悪い感情を抱かないという。

「やめる勇気がなくて仕事にしがみついていると失敗する。」

ただし、単に仕事が大変だからという理由でやめることは勧めていない。長い道を歩むうえで、困難に屈しないことは強みとなる。

ここで最も大切なことは、やめようと思う気持ちが、忍耐力が足りないためなのか、それとも、もっと自分に合うものを見つけたからなのかを感じ取ることだ。

 

これは、まさにその通りだなと思います。

やめる理由が大切かなと。個人的には、ゴールが見える激務であれば我慢して続けてみるのもいいと思います。

社風(パワハラ、セクハラなど)や人間関係ややりたいことが違うなど、そういった内容であれば勇気を持って辞めたほうがいいです。

 

個人的には、以下の3つの理由で転職することも悪くないと思っています(抵抗がないわけではないですよ)。

 

①過去と時代が違う

これは石の上にも三年と言われていた時代と異なり、変化も激しい時代の中で、キャリアについては主体的に考えていく必要があるのではないかと思っていること(昔の考え方を否定しているわけではなく、仕事やキャリアについては昔と常識が異なるのではと思っています)。

実際に、国(特に経済産業省)の方向性の中では多様なキャリアを推進することが記載されています。

産業人材 (METI/経済産業省)

 

②人生100年時代と労働者の減少

人口減少、少子高齢化の中で日本の生産年齢人口は確実に減少していきます。

国はそれに対して、女性の社会進出、高齢者の働き手の増加、ITの推進をして対応しようとしていますが、生産年齢人口が減少することは間違いありません。

そういう意味では生産年齢人口の人たちはとても貴重な存在になっていく。

また、併せて人生100年時代の中で70代でも働く中で、若いうちの転職はあまり気にされないのではないでしょうか。

 

③結局転職が成功だったかどうかは転職後に決まる

転職が成功したかの判断って、結局転職した後の仕事(人生)が満足いくものだったかどうかで決まるので、転職後に頑張るしかないということ。

当然、転職先の情報は可能な限り調べておくべきだと思いますが。

 

結局、個人的には石の上にも1年~2年程度いれば(社会人の基礎スキルが身につくため)いいのかなと思います(もちろん、パワハラなど心身的な問題が生じる職場であれば法的処置を取ったうえで、すぐにやめることを進めます)。

 

 

3.人生は長期計画か?

大谷君だったり、イチローだったり有名な選手は小さい時からメジャーやプロで活躍することを夢にみて、それに取り組んでいます。

そういった人たちは長期的に人生を計画して一つずつ、達成しているように思います。

実際にメディアや本でもそういった成功例を報道していますしね。

 

ただ、本書で述べられている成功者たちはちょっと違います。

 

彼らは、最初の道から外れるのはとてもリスクが高いと、周囲の人たちに言われていた。だが、私たちが知っておくべきなのは、最初の道から外れるのは異常ではなく当たり前だということだ。

 

「みな長期計画ではなく、短期計画を実践していた。」

 

そう、意外とみんな色々な道を歩んでいるということw

確かに、子どものころに人生で出会う人たちはみんな一つのことをやり続けた専門職が多いですが(先生だったり、お医者さんだったり)、意外と大人になると色々な人生を歩んでいる人も多いですよね。

 

まあ、日本の企業の場合社長とかはまだまだプロパーが多いですが。

このあたりも変わってくるといいですけど(というか変わらないわけにはいかないと思いますが)。

 

自分も割と短期計画で人生を生きてきているので(長期計画ぼんやり持っていますが、その通りいったことのほうが少ない気がw)、後押しされる内容だななんて思いました。

 

 

4.まとめ

とてもためになる内容でした。

色々な論文を引用していたり、多くの事例があげらていたりと勉強になりました。

ざっくり言うと「教育版ファクトフルネス」って感じですかね。

人生に悩んでいる人やこれからの人生やキャリアを考えたい人、また子供の将来について考えたい人なんかにおススメです。

実際、気になった内容をブログにまとめていますが、他にも色々書かれているので、是非読んでみてください。

キャリアや人生の考え方に新しい発見があると思います。