なすが食べられるようになりました。

30代共働き庶民のサラリーマンです。ファッションや読書や映画や旅行やアウトドアなどについての覚え書き。

やっぱり天才プロレスラーでした。【読書感想】完本1976年のアントニオ猪木/柳澤健


スポンサードリンク

プロレス大好きな自分としては、前々から読みたかったこの本。

作者の柳澤健さんの本は結構好きで、既に2冊読んでいますw

 

ぐいぐい引き込まれる。【読者感想】1985年のクラッシュギャルズ - なすが食べられるようになりました。

 

愛してまーす!【読書録】2011年の棚橋弘至と中邑真輔 - なすが食べられるようになりました。

 

この方の著書は分かりやすいのはもちろんのこと、その時の熱狂が伝わってくるんですよね。

そして、取材に裏付けされたその時代背景も含めてプロレスを解き明かしていく。

 

というわけで、今回読んだのはこちら。

完本 1976年のアントニオ猪木 (文春文庫)

完本 1976年のアントニオ猪木 (文春文庫)

  • 作者:柳澤 健
  • 発売日: 2017/02/03
  • メディア: Kindle版
 

 

相変わらず今回もめちゃくちゃ面白かったです。

 

今回の切り口は1976年に猪木が行った「異常」な試合の前後を通じて、アントニオ猪木、プロレス、総合格闘技を分析しています。

ちなみに「異常」な試合とは

  • ミュンヘン五輪柔道無差別および重量級の優勝者、ウィリエム・ルスカ戦
  • ボクシング世界ヘビー級チャンピオン、モハメッド・アリ戦
  • アメリカで活躍中の韓国人プロレスラー、パク・ソンナン戦
  • パキスタンで最も有名なプロレスラー、アクラム・ペールワン戦

です。

 

 

1.自分世代のアントニオ猪木

いずれも、まだ生まれてもいないため、自分世代で知っているのはモハメッド・アリ戦ぐらいでしょう。

それも、テレビや漫画などを通して知っている程度。

そういう意味ではこの本を読んで、アントニオ猪木という人物を自分は全然知らなかったなと改めて実感しました。

アントニオ猪木が現役でプロレスをやっている時期にぎりぎりテレビでプロレスを観れていたかなといったところ。

どちらかというと漫画で知っている内容が多いかもしれません。

 

自分より下の世代だと、総合格闘技のプロデューサーといったところでしょうか。

あとはお笑いやモノマネから知っているという程度かもしれません。

 

ただ、アントニオ猪木の知名度は漫画やテレビを通して絶大でした。

好きなプロレスラーには名前は入らないものの、レジェンドといったところでしょうか。

 

しかしながら、この本から感じられるアントニオ猪木はやはり天才プロレスラーだなと。

いずれの分野でも自分の分野を再定義しなおせることは開拓者としてとても大切なことでしょう。

それでいて、それを実現する能力があること。

 

アントニオ猪木で言えば、「プロレスの天才」でありながら、異種格闘技を行い、戦うだけの「強さ」を持っていたということでしょう。

 

 

2.時代とプロレス

プロレスは、ハッピーエンドを強く求めるエンターテイメントである。1950年代に力道山が作り上げたプロレスは、首都を焼け野原にされ、2発の原子爆弾が落とされ、無条件降伏を強いられたアメリカへの怨念をエネルギー源としていた。

基本的にはプロレスは、感情移入させて、その感情を消費するエンターテイメントだということ。

時代によって、感情は異なるけれども、海外でのプロレスが民族の感情を発散させることで成長していったというのが面白いなと。

実際に韓国などでは国策で行われていたということも他のスポーツとちょっと異なるところだと思います(スポーツではないけれど)。

 

自分がプロレスを見出した時には、「プロレスが最強の格闘技」で「誰がプロレスラーの中で一番強いか」みたいな話題はしょっちゅうありました。

 

これは、まさにアントニオ猪木が作り出した「プロレス」に自分がはまっていたということですがw

 

スポーツの目的は勝利である。スポーツマンは必ず勝利を目指す。だが、プロレスはスポーツではない。プロレスラーは勝利を目指さないからだ。よくプロレスは八百長などと言われるが、正確には違う。八百長試合ならばどんなスポーツにもある。普段は真剣勝負を闘い、時々負けてやるというのが八百長である。一方、プロレスのリングの上では真剣勝負は禁止されている。勝者と敗者を決めるというのが観客の欲望を代行するプロモーターであり、レスラーではないのだ。

これが、プロレスとスポーツの違いをまさに分かりやすく解説している文章だなと。 

ただ、時折、本気の勝負(異種格闘技戦)を入れて、これは本気の勝負なんじゃないかというのを巧みにプロモーションしたのがアントニオ猪木のプロレス。

 

ただ、アントニオ猪木が異種格闘技戦をやらなければならかった理由として、もう一人の天才ジャイアント馬場の存在があったのが面白ところ。

結果として、この2人の存在がプロレスを国民的なエンターテイメントとして持続させてきたのでしょう。

 

 

3.アントニオ猪木の功績

結果として、プロレスを持ち上げて、プロレスを潰しかけた天才プロレスラーではありますが、やはりその功績は大きかったなと。

もちろん、モハメド・アリをプロレスのリングに持ってきたことは凄いですが、

日本以外の国で、総合格闘家やキックボクサーが尊敬を集めることはまずない。ポルノ男優や女優と同じように、人のできないことをする異界の住人として恐れられ、遠ざけられるのが普通だ。だが日本では違う。群を抜く強さや、鍛え抜かれたたくましい肉体は憧れの対象だ。日本にやってきたファイターたちは、自分が尊敬の対象であることに一様に驚く。 

やはり、格闘技を根付かせたという点ではアントニオ猪木の功績は大きいなと。

アメリカでもロシアでもオランダでもブラジルでも、リアルファイトである総合格闘技と一種の演劇であるプロレスとの間には、しっかりとした境界線が引かれている。にもかかわらず、大多数の日本人にとってプロレスと総合格闘技の境界線の区別はないに等しい。 

ただ、一方でアントニオ猪木の作り出した「プロレス」によって 総合格闘技が入ってきたときにプロレスラーは苦労するのですが…。

このあたりは、「2011年の棚橋弘至と中邑真輔」を読んでもらうと分かりやすいと思います。

 

2011年の棚橋弘至と中邑真輔

2011年の棚橋弘至と中邑真輔

  • 作者:健, 柳澤
  • 発売日: 2017/11/16
  • メディア: 単行本
 

 

 

 

4.まとめ

でも、今思うとレスラーは別にアマレス出身の人たちがアマレスルールで本気の試合をしてお金をもらうわけではないのに、名前が「プロ」レスということでエンターテイメントと他のプロスポーツとの境界をあいまいにしているところが面白いですよね。

ただ、自分の成長とともにプロレスの見方が変わっていることは感慨深いことですし、だからプロレスが好きということもでもありますがw

アントニオ猪木を知りたい人も知らない人にもおすすめの本ですよ。