自宅で読書週間ということで、買って積読本になっていた本をさっそく読み漁っていますw
今回はこちら。
マーケットという人によってはピンと来ないかもしれませんが、マルシェや市といった屋外で人が集まって商売する場所のことです。
一応、本書では以下の条件を満たすものをマーケットとしています。
①屋外空間で売買が行われていること。
②入場に制限がないこと
③仮説であること
④伝統的な祭り・フリーマーケットを除く
自分は結構マーケットが好きで、海外でも必ず行くようにしています。
好きなんですよね、あの活気と言い、掘り出し物?が見つかりそうな雰囲気などが。
実際にマーケット運営にも少し携わったことがあるので、復習的な意味でも楽しく読めました。
1.日本でマーケットが増えている理由
マーケットは必ずしもおしゃれである必要はない。マーケットというとヨーロッパの洗練されたマーケットをイメージしがちだが、マーケットは世界中にあり、生活に必然性から生まれた場であることが多い。
そうなんですよね、本書でも述べられているように、マーケットは必ずしも海外から入ってきたものではなくて「市」そのものでもあります。
お洒落なマーケットもあれば、そうでないものがあってもいいと思います。
それぞれの個性があることが大切だと。
また、本書では現代版マーケットが増えている理由として三つの理由をあげています。
①社会のニーズへの回答
②政府の助成事業の後押し
③公共空間の活用への関心の高まり
です。
①社会ニーズへの回答
これは、地域コミュニティの衰退への対応です。
実際に国の施策として各省庁が出しているプランの中で、ほとんどが地域コミュニティの活性化があげられます。
これは各々の省庁でそれぞれ理由はあると思いますが、単純に言えば、人は助け合った方が効果的であるからですね。
当たり前にあった地域コミュニティによって支えられていたものが、当たり前じゃなくなったことで様々な問題が噴出している…。
一度なくなってしまったコミュニティをもう一度紡ぎ出すのはなかなか難しいですが、それでもやはり少しでいいので一人一人が意識してやっていく必要があるかなとは思います。
②政府の助成事業の後押し
これは上記の流れに伴う国及び自治体の助成制度ですね。
③公共空間の活用への関心の高まり
これも行政の政策として、バブル時代のハードの政策からソフトの政策への転換があげられると思います。
新しくハード(建物など)を建設していくのではなく、既存のハードをどのように使用していくかを重視していくようになったということでしょう。
もちろん、マーケットによる効果が認識されてきたというのもあるでしょう。
個人的にはおしゃれなマーケットよりも仁義なき戦いなんかに出てくる市みたいなのがあっても面白いんじゃないかと思っていますがw
2.クリアしなくてはならない法規
マーケットに限らずイベントを開催するうえで、必ず確認する必要があるのが法規。
ここについてはどちらかと言えば備忘録的に。
開催場所について
①道路
・道路使用許可(管轄警察署長)
・道路占用許可(道路管理者、主に市町村)
②公園
・都市公園占用許可(公園管理者)
②公開空地
・占用許可(都道府県知事)
食品関係について
①食品営業許可(都道府県知事)
②臨時出店届(保健所)
とまあ、色々と実は面倒くさい。
特に道路なんてのは基本的にはほとんど許可が降りないケースも多々あります。
当然、道路は車が走ったりするところですからね。
このあたりは柔軟に行きたいところですが、これについてはイギリスのように警察の直轄を市長や県知事にしないと…ってとこですかね(それはそれで問題ありそうですが)。
まあ、国が大きく方向性を出していかなければ、自由度を持って行っていくのは難しいように思います。
3.マーケットが生み出す効果
本書ではマーケットが生み出す効果についても言及されています。
(1)生活の質の向上
①コミュニティの形成
②多様な人々に対応(老若男女、人種、文化的マイノリティの居場所)
③場所の魅力の向上(周辺の不動産価値を高める)
④教育や支援の場(参加の目的は商品売買だけではない)
⑤高品質な商品の供給
⑥食育への貢献
(2)多様な経済効果
⑦地域経済の活性化(周辺店舗の売上を上昇させる)
⑧雇用の促進
⑨観光客を呼び込む資源
⑩スタートアップの機会
⑪実店舗やウェブショップのプロモーション
⑫顧客ニーズを把握するマーケティング
⑬店舗間の交流(店同士が繋がりBtoBビジネスに発展)
(3)環境にやさしい商業形態
⑭CO2の排出削減(一般的な流通網に頼らない直接販売)
⑮ゴミの削減
このように本書に記載されているように様々な効果があげられます。
マーケットを実践するうえではこのような効果を踏まえながら、目的をしっかり決める必要があるでしょう。
なお、「目的(何のためにしたいのか)」と「コンセプト(何をしたいのか)」 の違いについては、本書では以下のように記載されている。
コンセプトは、他者と共有することが前提となる。マーケットが目指す方向性のことである。短いフレーズに置き換えることができると、マーケットのサブタイトルとして使うことができ、分かりやすい。
目的は、具体的に期待する効果である。ダイレクトにコンセプトと繋がっているものはもちろん、コンセプトに直接関係しない目的があっても良い。
目的とコンセプトの違いについては結構自分の中でモヤモヤしていたのですが、この本を読んですっきりしましたw
個人的にはマーケットの重要性としては①コミュニティの形成⑦地域経済の活性化が主目的になってくるのではないかと思います。
実際に大体のマーケットがそうであり、それにプラスして⑨観光客を呼び込む資源として活用しているところもあるのかなといった印象です。
4.これからのマーケットについて
これからのマーケット運営については、コロナなよって難しい局面にはなるのかなと思います。
本当は個人的に海外のマーケット(特にアジア)みたいに超巨大なものや、物凄くニッチなものに焦点をあてたマーケットが出てくることを期待しているのですが、コロナがある以上マーケット自体の実施がなかなか難しいかもしれませんね。
代わりにオンラインでのマーケットみたいなものが出てくると面白いかなと思っています。
楽天に近いものではありますが、オンラインに設けられた場に対して限定的に出店されるようなプラットフォームができると面白いですよね。
さらにそこでズームのようなものでお客さんと店員さんが繋がって商品説明なんかが受けられたりとか…(もう既に実現されてそうですがw)
5.まとめ
コロナの今、マーケット自体は恐らく自粛しているところが多いかと思います。
ただ、マーケットのあの雰囲気はとても楽しくて素敵ですよね。
まあ、だからこそ昔から市として栄えてきて世界各国でながーく続いてきたんだと思いますが。
コロナが落ち着いたらまたマーケットに是非行きたいですね。
マーケット運営について興味がある方は一読をオススメします。